
中途採用のメリット
これから中途採用(途中採用)を始める企業も、実施しているけれどもうまくいかない企業もいらしゃるでしょう。まずは、中途採用のメリットを整理してみましょう。
即戦力候補を獲得できる
中途採用では、すでに社会人経験を積んだ人材を採用できるため、即戦力として活躍してもらえる可能性が高まります。選考段階で応募者の経歴やスキルを総合的に判断することで、入社初日から現場で力を発揮してもらうことも可能です。
また、募集から内定までの期間が比較的短く済むのも特徴で、数週間で採用が完了するケースもあります。切迫した人材不足に悩む企業や、早期に人材を補充したい企業にとって、中途採用は有効な選択肢といえるでしょう。。こうした背景から、近年は即戦力人材を確保する手段として中途入社者を積極的に受け入れる企業が増えています。
新たなノウハウを知ることができる
中途採用で獲得できる人材は、自社以外のノウハウを持っています。それらの知識や技術を活用することで、自社が現在抱えている課題を克服できるかもしれません。実際に、別の業界から採用された社員は、今までにない発想を持ち新しい発見があることが多いのです。
中途社員をまったく採用しない会社は、閉鎖的な考え方が浸透してしまい企業としての成長が滞るおそれもあります。
教育コストを削減できる
新卒社員は初めて社会に出るため、一般的な常識やビジネスマナーなどを習得していません。社会人として活躍してもらうためには研修を行い教育する必要があります。
その点、中途採用の社員はすでに社会で働いたことがあるため、改めて基礎的な研修は不要です。特に同業種で働いていた経験がある人材であれば、業界研修なども必要なくなるでしょう。研修は自社で実施した場合でも担当者の負担が大きく、省略することでコストが削減できます。
中途採用のデメリット
中途採用には多くのメリットがある一方で、採用活動において見過ごされがちな問題点も存在します。どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。
早期転職する可能性がある
中途採用の社員は前職を辞めている人たちです。転職経験が多い場合、終身雇用を希望せず自分のやりたいことを追究している可能性があります。
また、新卒採用社員と比較して自社に対する愛着を持たない人が多いようです。社風や会社のビジョンではなく、条件を重視して転職を決めた社員であれば早期離職する可能性も高くなるでしょう。
実際に、入社前と後の会社に対するイメージに差があれば、人間関係を構築する前に再度転職を試みる人も少なくありません。
自社の方針とマッチしない可能性がある
中途採用で獲得できる人材は、経験がある分自分なりの仕事の考え方や進め方を持っていることが多いです。そのため、新卒社員と比較すると柔軟性に欠けていると感じられることも少なくないでしょう。
もし、自社の方針や仕事の進め方と合わない場合、トラブルが発生する可能性も考えられます。
若い世代の成長や昇進が遅れる可能性がある
中途社員ばかりを採用していると、社内の平均年齢が高くなる傾向があります。実際に、中途採用をメインに行っている企業で、社内の人口ピラミッドが崩れ従業員の高年齢化が進んでしまう例があります。
このような状態では、新卒で採用する若い世代が居心地の悪さを感じてしまうこともあるしょう。責任のある仕事は中途採用の社員がメインになり、若手の成長が遅れる可能性もあります。
昇進するポストも埋まっている場合が多く、昇進できないことが原因で若手の離職に繋がるおそれもあります。
新卒採用に関するメリットなどは下記の記事で解説しておりますので、そちらもあわせてご覧いただくとより中途採用と新卒採用の違いが理解できます。
中途採用における課題
中途採用には多くのメリットがある一方で、企業側が直面しやすい制度面・運用面の課題も存在します。ここでは、中途採用を実施する際に見過ごされがちな組織的な課題を整理します。
- 選考制度の未整備
- 中途採用は現場主導で進められることが多く、評価基準や面接内容にばらつきが生じやすい傾向があります。制度的な基準がないまま個人の裁量に任せてしまうと、採用の質や公平性に影響が出るおそれがあります。
- 採用広報の弱さ
- 中途採用においては、新卒と比べて企業情報の発信が軽視されがちです。企業文化や働き方について十分な情報が伝わらなければ、条件面だけで選ばれやすく、ミスマッチや早期離職にもつながります。
- 定着支援の不足
- 新卒と違い、中途入社者には手厚いフォローをしないという前提があるケースも見受けられます。入社直後に適切なオンボーディングやメンター制度が用意されていない場合、孤立や早期離職の原因になります。
新卒と中途採用の違い
自社の採用方針を決めるためにも、新卒採用と中途採用の違いを見ていきましょう。
評価基準:新卒はポテンシャル、中途はスキル
新卒採用の場合、選考段階では学生で社会人経験がほとんどありません。そのため、将来性や入社に対する意欲が大きな評価基準になります。
それに対して、中途採用の場合はスキルや実績で評価します。求職者の年齢が上がれば、ポテンシャルよりも「今何ができるか」を重視することが多いです。
選考期間:新卒は長期、中途は短期
新卒採用の場合、会社説明会や書類選考を行い、面接を繰り返して内定を出します。一度に選考を進める学生の人数が多いため、半年近くかかることも少なくないでしょう。また、ポテンシャルを判断するのが難しいことからも時間がかかりやすいです。
中途採用の場合、1度に選考を行う人数は少ないことが多いです。また、実績に対して明確な評価基準を設けることで採用プロセスを簡略化できます。結果として、選考期間を短縮しスピード採用が可能です。
給与:新卒は一律スタート、中途は実力次第
新卒の場合、同期入社した社員の給与は一律であることがほとんどです。その後の活躍や実績に応じて昇給していきます。
中途採用の場合、選考段階で実力を判断し、それに見合った給与を提示することが多いです。なお、募集段階で提示する給与額は、応募者のレベルや応募数に影響するので慎重に決める必要があります。
企業文化の浸透:新卒は浸透しやすい、中途は自己が確立
新卒の場合は、起業経験がほぼないのでその企業に染まりやすいという特徴があります。
中途社員は、自分の働き方や考え方がある程度確立していることが多いです。自分で考え、意義を見出して仕事をすることができるでしょう。
中途採用を成功させるポイント
中途採用を効果的に進めるには、課題をふまえたうえで、事前準備や体制づくりを行うことが重要です。ここでは、採用活動をスムーズかつ確実に進めるための実践的なポイントを紹介します。
採用条件や評価基準を明確にする
中途採用では、ポジションごとに求められるスキルや経験が異なるため、評価基準が曖昧だと選考がブレやすくなります。求める人物像・スキルレベル・業務内容を整理し、募集要項や面接時の評価軸として明示しましょう。部署ごとに認識をすり合わせる場を設けることも有効です。
スピーディーな選考体制を整える
転職活動や就職活動中の人材は、無収入期間の不安や将来への焦りから、早期に内定を得たいと考える傾向があります。そのため選考が長引くと、意欲の高い候補者ほど早く結論が出る他社に流れてしまう可能性が高まります。
こうした機会損失を防ぐには、選考フローの見直しとともに、面接日程の迅速な調整や合否判断のスピードアップが不可欠です。特に中途採用では、現場の責任者や経営層の判断も絡むことが多いため、社内の意思決定ルートを事前に明確化し、迅速に動ける体制を整えておきましょう。
入社後のフォローアップを重視する
中途入社者が早期に活躍し、長く働き続けるためには、入社後の支援体制が不可欠です。社内制度や業務知識のキャッチアップを支援するオンボーディング施策を用意し、定期的な1on1やメンター制度などで心理的な孤立も防ぎましょう。
以下の記事では、中途採用の説明会について解説しています。
中途採用について正しく理解し、自社に合った人材の確保を!
中途採用にはメリットとデメリットがあるため、正しく理解して採用活動を行いましょう。
新卒採用と比較して中途採用には、教育コスト削減・即戦力候補獲得といったメリットがあります。また、自社にはない新しいノウハウの獲得も期待できるでしょう。しかし、自社とマッチしない可能性や早期転職のリスクもあります。
採用条件や基準を明確にし、スピーディな対応を心掛けて中途採用を成功させましょう。
