給与明細にミスがあったときの対処法は?
万が一、給与明細にミスがあったとき、どのような対処をすれば良いのでしょうか。ここでは、3つの対処法を紹介します。
1.本人へのお詫び
給与明細のミスが判明したら直ちに本人へ通知し、丁寧に謝罪しましょう。適当な謝罪やごまかしは、従業員の不信感を招きます。
残業代が反映されていなかった、有給休暇を欠勤扱いにしたなど、ミスした箇所と理由を説明します。そして、正しい給与明細を発行して渡す旨を従業員へ伝えましょう。
支給額に変動がある場合、差額がいくらになるのか従業員へ丁寧に説明します。お金に関することだからこそ、真摯な対応を心がけましょう。
2.給与明細の修正・送付
業務が立て込んでいても給与明細の修正を最優先で行います。チェックを入念に行いながら正しい給与明細を作成しますが、焦って再びミスを起こさないよう注意しましょう。ミスを繰り返してしまうとさらに不信感が高まります。
新しい給与明細を従業員へ渡す際、修正箇所、修正後の金額、差額分の対応方法を説明し、再び謝罪します。
3.過不足の調整
給与明細のミスには給与の支給額に過不足が発生することがほとんどです。ここからは過不足発生時の支給額の調整方法について解説します。
過払い時:当月~翌月支給日までに調整する
賃金支払いの5原則「全額払いの原則」に基づき、給与の過払い時は当月内の調整が望ましいです。ただし、労使協定で給与ミス発生時は翌月調整とする旨を規定していたり、従業員から翌月調整の同意を得たりしている場合は、当月内でなくても大丈夫です。
翌月調整を行う際、従業員の同意を得ずに給与から過払い分を差し引いてはいけません。調整した旨を翌月の給与明細に記載しておくと従業員の信頼回復につながります。
過払い額が大きい場合は速やかに回収することをおすすめしますが、従業員への配慮が必要です。差額分の返金を急に求められては、従業員の負担になるかもしれません。従業員が冷静に対応できるよう、早めの通知を心がけましょう。
不足時:速やかに調整する
給与の不足時は「全額払いの原則」に基づき、可及的速やかな調整が必要です。翌月の給与で不足分を調整すると法律に抵触します。従業員の同意を得た場合は翌月調整も行えますが、当月内の調整が原則です。
不足分を現金で調整する場合、従業員から領収書を貰いましょう。振り込みは即時受け取りが可能な場合のみとし、振込日が翌営業日にならないようにします。

給与明細の記載ミスを繰り返さないためには?
給与明細にミスがあっては、従業員との信頼関係にひびが入りかねません。給与明細の記載ミスを繰り返さないために4つのポイントを紹介します。
給与計算のルール整備を徹底する
給与計算は就業規則や雇用契約に基づき行われます。これらのルールが曖昧だと休日出勤時や残業発生時などのイレギュラーに対応できず、計算ミスにつながりやすいです。
就業規則や雇用契約の内容を見直し、勤務実態に即した給与計算のルールを再構築しましょう。
また、1人の経理担当者に給与計算を任せるのではなく、ほかの人もチェックを行いましょう。1人ではミスに気付きにくく、修正に時間がかかってしまいます。ミス防止・業務効率化の観点からダブルチェックを行うことをおすすめします。
給与計算のアウトソーシングを活用する
給与計算には税制の最新知識が必要です。税制や社会保険に関する制度は変更が多く、これらに対応しないと正確な給与計算は行えません。また、年末調整の時期は経理担当者の業務負担は増加し、ミスが起こる可能性は高まります。
そこで給与計算のアウトソーシングを検討しましょう。アウトソーサーは給与計算に関するスペシャリストであり、知識や経験が豊富です。年末調整や社会保険手続きなど、知識を伴う業務を正確に行ってくれるため、法令違反といった事態を避けることが可能です。
給与計算システムを活用する
給与計算システムとは、勤務実態や各種の手当を計算したり、社会保険や住民税などを自動計算できる機能を搭載したシステムです。変動する最新の税制にも対応した製品が多く、経理担当者の負担を軽減してくれます。給与計算システムを利用することで、計算間違いや、うっかりミスなどの人為的ミスが起こりにくくなります。
正社員やアルバイト、時短勤務など多様化する勤務形態にも対応しており、勤務形態の混在化による給与計算のミスを軽減します。給与計算システムについては以下の記事で詳しく紹介していますので、気になる方はぜひご覧ください。
給与明細電子化システムを活用する
給与明細電子化システムとは、給与明細を電子化しメールで送信したりWeb上で閲覧できるようにするシステムです。給与計算システムと連携していたり、手元の給与データをインポートして使えるものがあります。手渡しのミスや手間をなくすほか、管理側での再発行の必要がなくなります。
給与明細の印刷や配布の作業に追われることがなくなるので、その分、給与計算の業務に集中しミスを減らすことにつながります。
【ITトレンド調査】給与明細電子化システムを導入した企業レビュー
ここでは実際にナレッジマネジメントシステムを導入している企業からITトレンドに寄せられたレビューを紹介します。利用者の声をもとに、導入後に感じられたメリットや課題を確認し、導入への参考にしてみてください。
シンプル操作で給与情報をわかりやすく確認
ログイン後に該当月を選択するだけで金額が表示され、時給・有休日数・勤務日数なども見やすく整理されています。勤務表と照らし合わせて詳細を把握できるため、導入前よりも給与への理解が深まり、労働意欲の向上にもつながっています。
S-PAYCIAL with 電子給与明細を利用したユーザーの口コミ
アルバイトとして使用しているため、特に困ったことはなかった。源泉徴収票の提出や確定申告などもここから行えるが、給与欄ではなくお知らせ欄に表示されていたので、見逃してしまいそうだなとは思った。
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シリーズ製品との連携で給与業務を効率化
勤怠管理や労務管理と連携できるシリーズ製品であれば、社会保険料や税金の改正にも自動対応できるため、複雑な計算を行う必要がありません。さらにWeb明細の配信や銀行振込データの作成もスムーズに行えるため、給与関連業務全体の効率化になったとの声も寄せられています。
ジョブカン 給与計算を利用したユーザーの口コミ
ジョブカン勤怠の取り込みが簡単。従業員情報を詳細に入力しておけば、社会保険料や税金などは改正があってもしっかり対応してくれているため、計算の必要がない。
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従業員情報はジョブカン労務とジョブカン給与で連携はできるものの、出来ない内容もあり、わかりにくく不便。両方使っている場合はどちらか一方に従業員情報を一括したい。
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給与明細のミスをなくし自社の信頼性を向上させよう!
給与明細のミスには真摯な態度で迅速に対応することが重要です。また、具体的な予防策を提示することで従業員との間で信頼を回復させることが大切でしょう。
給与計算のアウトソーシングや給与計算システム、給与明細電子化システムを活用すれば、給与明細のミスを削減できるだけでなく、業務効率化、利便性向上にもつながります。自社に合った方法を検討して、信頼の回復と向上に努めましょう。

ログインして該当月を選択すれば、金額がパッと表示されるので、余計な操作が要らずとても見やすく分かりやすいのが、何よりの評価ポイント。もちろん、時給や有休取得日数や残日数、勤務日数など、詳細の情報もわかりやすくまとめられている。
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