
BIツール(BIサービス)とは
BIツールとは、企業に蓄積されたさまざまなデータを収集・分析・可視化し、経営判断や業務改善に活用できるツールです。正式名称は「ビジネスインテリジェンスツール(Business Intelligence Tool)」で、BIサービスやBIシステムとも呼ばれます。
BI(ビジネスインテリジェンス)とは?注目される理由と背景
BIとは「ビジネスインテリジェンス(Business Intelligence)」の略称で、企業活動におけるデータをもとに意思決定を支援する手法や概念を指します。売上・顧客・人事・在庫など、あらゆる業務データを活用し、課題の発見や戦略策定を行うための枠組みです。
近年BIが注目されている背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やビッグデータの普及、さらにはデータに基づく経営の重要性が高まっていることが挙げられます。従来のExcelやスプレッドシートでは処理が難しかった大容量のデータも、BIツールを使えば高速かつ視覚的に分析が可能です。
特に「セルフサービスBI」と呼ばれるツールの登場により、エンジニアでなくてもデータ分析ができる環境が整ったことが、BIツールの普及を後押ししています。セルフサービスBIについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
BIツールがおすすめの企業・部署
以下のような課題を抱えている企業・部門には、BIツールの導入が特に効果的です。特に営業部門をはじめ、各部署に散在するデータを一元的に可視化・活用したい企業にとって、BIツールは業務改善の鍵となります。
- ●日々のレポート作成や集計業務に多くの時間がかかっている
- ●営業実績や商談状況などの情報が個人・部門内に分散している
- ●経営層への報告にリアルタイム性や正確性が求められている
- ●現場担当者がExcelなどでデータを扱う負担を軽減したい
- ●受注率・売上推移などを可視化し、営業戦略の立案に活かしたい
例えば営業部門では、リード情報の分析、案件の進捗管理、売上報告などの業務がBIツールによって効率化されます。リアルタイムでの進捗確認やKPIの可視化が可能となり、営業マネージャーは戦略的な判断を迅速に下せるでしょう。また、マーケティング部門や経理部門とのデータ連携によって、部門をまたいだ全社的な意思決定の質も向上します。
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BIツールとExcel・ERP・DWH・ETLの違い
BIツールについて理解を深めたところで、ほかのよく使われているデータ収集や分析ツールとの違いを整理しておきましょう。多くの企業では、Excelなどの表計算ソフトが日常的に使われていますが、BIツールとは目的も性能も異なります。
- ■BIツールにできて、Excelにできないこと
- ・大容量データの処理や分析
- ・異なるデータソースを組み合わせた分析
- ・情報のリアルタイムな更新・共有
- ・グラフや図表などによるわかりやすい可視化
BIツールとExcelでは、「扱えるデータ量や処理スピード」が異なります。ビッグデータを活用する場合は、データ処理性能にすぐれたBIツールの活用が適しています。
また、BIツールと並んでよく聞く言葉として、ERPやDWH、ETLがあります。それぞれの意味は以下のとおりです。
- ■ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)
- 会計や生産など企業に存在する複数のデータを統合し、一つのデータベースとして管理するシステム。統合基幹業務システムとも呼ばれる。
- ■ETL(Extract:抽出/Transform:変換/Load:書き出しの略)
- 複数のシステムからデータの抽出・変換・書き出しを行うシステム。DWHに複数システムのデータを書き出すために利用される。
- ■DWH(Data WareHouse:データの倉庫)
- 社内のさまざまなデータを活用するために、複数のシステムからデータを取得して、最適な形式で蓄積するシステム。
ERPやETL、DWHに統合されたデータを、グラフやダッシュボードで見える化し、誰でも分析できるようにするのがBIツールです。
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BIツールの種類とできること【図解あり】
ここからは、BIツールにどのようなタイプや機能があるのかを紹介します。ツールの種類を把握することで、自社にあった製品を選びやすくなります。
レポーティングツール
レポーティングツールは、素早くタイムリーに問題の兆候を発見するためのツールです。企業のあらゆる活動の履歴データからパフォーマンスを計測し、監視します。異常が認められた場合、状況を即座に分析し、早期対応が可能です。

- ■レポーティングツールの活用例
- レポーティングツールを活用して、グラフや図表を用いたWebレポートを作成。ブラウザ上から手軽にレポートを確認できるようになり、経営者や中間管理者などへの情報共有が促進した。
OLAP分析ツール
OLAP分析ツールは、問題の要因を多角的に検証するツールです。蓄積されたデータをさまざまな切り口で解析して、原因分析や意思決定をサポートします。

- ■OLAP分析ツールの活用例
- OLAP分析の結果、ある店舗での突出した売上の要因が、同日の近くでのイベント開催であったことが判明した。
データマイニングツール
データマイニングツールは、新たな気づきを得るためのツールです。大量データのなかから隠された相関関係や傾向を見つけ出し、経営判断や施策立案に役立てます。

- ■データマイニングツールの活用例
- 休日のネットショップ利用者数が大幅に減少していた。データマイニングツールの分析結果により、その要因の一つとして、天気や時季が密接に関係していることがわかった。
プランニングツール
プランニングツールは、予算編成や経営戦略の根拠づけを支援するツールです。シミュレーション結果をもとに、計画の精度を高められます。

- ■プランニングツールの活用例
- プランニングツールで為替や需要の予測を行い、全体の利益や売上がどうなるかをシミュレーションした。これにより、トップダウン予算がより具体的で確実性を帯びるようになった。
以下の記事では、最新のBIツールを種類別に比較しています。詳しい製品情報が知りたい方におすすめです。
【業務別】BIツールの活用シーンと使い方
BIツールは、業務に即した分析や情報共有を支援するツールです。ここでは、各部門での具体的な活用シーンを紹介します。
シーン | 活用内容 |
---|---|
経営・財務分析 | 財務データを集計し、経営資料を自動作成。迅速な経営判断を支援。 |
営業・売上分析 | 複数システムから顧客や売上のデータを分析し、営業戦略に活用。 |
人事分析 | 人材配置・育成・評価に必要な人事データを可視化・分析。採用計画の立案を支援。 |
勤怠・残業分析 | 勤怠状況の可視化により、残業削減や働き方改革の推進に活用。 |
予実管理 | 予算と実績の集計・比較を自動化し、予算状況の把握と分析を効率化。 |
BIツールの効果的な活用方法
BIツールを導入するだけでは、十分な効果を得ることはできません。業務に定着させ、経営判断に活かすためには、以下のポイントを押さえた活用が求められます。
- ■KPIに基づくダッシュボードの設計
- ビジネスの目標を明確にし、それに直結するKPI(重要業績評価指標)を可視化するダッシュボードを構築することで、必要な情報にすぐアクセスできる環境が整います。例えば、営業部門であれば「成約率」「リード獲得数」「月別売上」などが指標となります。
- ■部門ごとのカスタマイズ
- BIツールは部署ごとのニーズに応じてレポートやダッシュボードを柔軟に設計できる点が強みです。経営層には俯瞰的な分析レポート、現場担当者には実務に直結した詳細レポートを提供するなど、情報の粒度を調整することで、意思決定の質が向上します。
- ■データの一元管理と自動更新
- 複数の業務システムやExcelに散在するデータをBIツールに統合し、自動で更新する仕組みを整えることで、常に最新の情報に基づいた判断が可能になります。ETLツールとの連携やDWHの活用により、データの信頼性も担保できます。
- ■定期的なレビューと改善
- 活用を継続するためには、ダッシュボードやレポートの内容を定期的に見直し、現場のニーズにあわせて改善していく運用体制が不可欠です。ユーザーからのフィードバックを取り入れることで、BIツールの活用がさらに浸透しやすくなります。
- ■ユーザー教育とサポート体制の整備
- ツールの効果を最大化するためには、利用者への教育も重要です。社内勉強会の実施やマニュアル整備に加え、初期段階ではBIツールベンダーのサポートを活用するのも有効です。
BIツールの導入効果や導入を成功させるためのポイントは、以下の記事でも紹介しています。ぜひ参考にしてください。
BIツールの導入メリット
BIツールの導入によって、企業は以下のような本質的な成果を得られます。単なる「レポート作成支援ツール」ではなく、企業の意思決定を支える経営インフラとして活用することが可能です。
- ●経営判断の質とスピードの向上
- ●データドリブンな業務改善の推進
- ●帳票自動化による業務効率化と正確性向上
- ●情報の透明化と部門間の連携強化
- ●将来のリスクや機会の早期察知
経営判断の質とスピードの向上
売上推移や在庫状況、KPIなどの重要指標をリアルタイムでダッシュボードに表示できます。経営層は、会議や報告書に頼らず、常に最新の数値に基づいた意思決定が可能になります。市場変化や業績の異変にも迅速に対応でき、戦略的な経営判断の精度とスピードが大幅に向上します。
データドリブンな業務改善の推進
BIツールによって、各部門は自らの業務データをタイムリーに分析できるようになります。現場レベルでの意思決定や改善活動において、経験や感覚だけでなく「データに基づく論拠」を持てるようになるでしょう。日々の業務にPDCAを組み込み、数値から課題を洗い出し、改善アクションにつなげる企業文化の醸成にも寄与します。
帳票自動化による業務効率化と正確性向上
「従来Excelなどで手作業していた帳票の作成業務を、BIツールによって自動化できます。売上報告書・在庫一覧・会議資料などをテンプレートに基づいて自動生成し、PDF・Excel・CSV形式で出力可能です。
これにより、帳票作成にかかる時間を大幅に短縮できるだけでなく、人的ミスを減らし、作成の品質と一貫性を保つことが可能になります。また、営業部門や経理部門での情報共有がスムーズになり、社内の意思決定スピードの向上にもつながります。
情報の透明化と部門間の連携強化
BIツールは、部署間で異なっていたデータの粒度や形式を統一し、可視化された共通指標として共有できます。営業・マーケティング・経理などの異なる部門間でも同じ視点で議論が可能になり、組織横断的な連携がしやすくなります。報告・連絡・相談の時間や工数も削減でき、全社最適化が進みます。
将来のリスクや機会の早期察知
時系列分析機能やアラート機能を活用することで、業績悪化の兆候や市場の変化をリアルタイムに察知できます。異常値や予実差異などの変化を素早く把握することで、打ち手を早期に講じることが可能に。また、トレンドの把握により、新規事業の機会創出や業務の先回り的改善も期待できます。
BIツールの導入メリットは、以下の記事でも詳しく紹介しています。
BIツールの導入デメリット
BIツールの導入効果を得るためには、自社の企業規模や業務に適したBIツールを導入することが重要です。運用体制にあわなければ社内に定着しなかったり、操作しにくいツールであれば従業員の作業負担が増えたりする可能性があります。導入における注意点を以下にまとめました。
- ■導入コストと運用負荷
- BIツールは高性能な分、導入費用やライセンス料、メンテナンスコストが発生します。また、データ整備やツール運用のための担当者の確保も必要です。
- ■社内のデータリテラシー格差
- ツールを使いこなすためには一定のITスキルが求められます。社員のデータリテラシーに差があると、効果的な活用が難しくなります。
- ■システム連携の複雑さ
- 既存のERPやCRM、DWHと連携する際に、データ形式の不一致や開発コストなどの課題が発生する可能性があります。
- ■セキュリティ上の課題と対策
- BIツールでは膨大な社内データを取り扱うため、情報漏洩や不正アクセスのリスクがあります。クラウド型ツールでは特に、アクセス制限・暗号化・多要素認証などの対策が必須です。
- ■定着化の難しさ
- 導入当初は注目されても、現場での活用が進まず放置されるケースがあります。定期的な教育や活用支援の体制が必要です。
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おすすめのBIツール一覧と比較
ここでは、実際にどのようなBIツールがあるのかを見ていきましょう。ITトレンド年間ランキング2024(BIツール)部門で、資料請求数が多かった上位3製品を紹介します。
FineReport
- ローコードでExcelライクのデザイナにより、分析画面を簡単作成
- データ可視化にデータ入力機能もあり、社内様々な課題が解決可能
- 日本国内大手企業の導入実績が多く、各種事例と安心サポート
バリューテクノロジー株式会社が提供する「FineReport」は、帳票作成やBI分析、ダッシュボードなどの機能を搭載したデータ活用ツールです。複雑な帳票やBI分析ダッシュボードも、ドラッグ&ドロップで簡単に作成できます。また、PCをはじめタブレットやスマホなどのマルチデバイスに対応しています。
Domo
- データ活用を実現するために必要な機能をオールインワンで提供
- SaaS型BI国内市場NO.1!※高い顧客満足度を獲得!
- モバイル標準対応なのでデータを元に迅速なアクションを促進可能
NDIソリューションズ株式会社が代理店として提供する「Domo」は、データドリブン経営を実現するために必要な機能を網羅したBIツールです。1,000以上の豊富なコネクタを備えており、データの連携性に強みをもちます。また、専門知識をもたないビジネスユーザーでも簡単に扱える操作性も特徴です。
Tableau Desktop
- スプレッドシートやAWSなどさまざまなソースと接続
- 統計的処理もドラッグアンドドロップで可能
- マッピング機能でデータを地図上に表示
株式会社セールスフォース・ジャパンが提供する「Tableau Desktop」は、直感的な操作で多様な環境のデータを一元分析できるBIツールです。ライブデータ接続やAIによる予測分析、シナリオプランニング機能を備え、誰でも効率的にインサイトを導き出せます。ビジュアル分析により意思決定を迅速に支援します。
BIツールのよくある質問
ここでは、BIツールの導入をはじめて検討している方から寄せられることの多い疑問にお答えします。
- Q1:BIツールとは何ですか?
- BIツールとは、企業が保有する膨大なデータを収集・分析・可視化することで、経営判断や業務改善に役立てるソフトウェアです。部門横断的に活用でき、現場でも使いやすい操作性が特徴です。
- Q2:BIツールの導入メリットは?
- 意思決定の迅速化、帳票作成の自動化、部門間の連携強化、異常検知によるリスク回避など、データを活用した業務効率化や経営精度の向上が期待できます。
- Q3:BIツールの選び方は?
- 自社の課題に対応した機能があるか、操作性が現場にあっているか、既存システムとの連携が可能か、サポート体制が整っているか、導入コストが適正かといった点を比較検討することが重要です。
まとめ
経営判断に効果的なデータを得るために重要なのが、扱うデータの質と量です。BIツールを活用して膨大なデータを迅速に集計・分析することで、より的確で効果的な経営判断が可能になります。
BIツール導入による業務改善を成功させるには、自社の業務に適したBIツールの選定が重要です。自社に適したシステムを見つけるためにも、まずは資料請求をして比較検討を進めましょう。以下よりまとめて資料請求できます。