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IT導入補助金でシステム投資を成功させるポイントは?事例も紹介

2025年12月10日 最終更新

IT導入補助金でシステム投資を成功させるポイントは?事例も紹介

中小企業のIT投資を強力に後押しするIT導入補助金ですが、期待した生産性の向上を実現することは決して簡単なことではありません。自社の課題解決につながるITツールを導入しないと、期待した効果を得ることはできないからです。

本記事では、IT導入補助金を使ったIT投資を成功させるためのポイントについて事例と合わせて解説します。

*この記事は、中小企業診断士 香川大輔氏が監修しています。

この記事は2025年12月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    効果の高いIT投資を実現するポイント

    IT投資で効果を実現するためには、手順を踏んで自社の課題を認識し、課題解決につながるITツールを正しく選定する必要があります。中小企業の場合、情報システム専任の部署がないことも多く、課題把握から選定まで、外部ベンダーに丸投げしてしまいがちです。

    しかし、外部ベンダーへの依存度が高すぎると、自社の課題と導入するツールにズレが生じ、費用対効果が薄れるリスクがあります。まずは、自社の課題解決に沿った「効果の高いIT投資」を実現するための基本ポイントを押さえましょう。

    現状の把握とRFPの作成

    まずは、現状を正しく認識し、改善するべき課題を明らかにしましょう。可能な限り自社リソースを使って使って業務フローを見直し、「どこに時間がかかっているか」「どこにミスが多いか」を可視化します。

    課題が明確になったら、RFP(提案依頼書)を作成することをおすすめします。「何を解決したいか」を明文化してベンダーに渡すことで、自社の意図とかけ離れた高額なツールを提案されるリスクを防げます。

    クラウドを使ったITツールを優先する

    専任のIT担当者がいない中小企業の場合、サーバーの管理やセキュリティ対策を自社で完結させることは困難です。管理コストやリスクを軽減するために、インストール型ではなく、クラウド(SaaS)として提供されるITツールを優先的に選定してください。

    IT導入補助金自体も、クラウド化によるデータ連携や業務効率化を推奨しており、クラウドツールは審査においても有利になる傾向があります。

    IT導入補助金の採択率を高めるためのポイント

    自社の課題分析をもとに適切なITツールを選定できたら、IT導入補助金の申請を行います。ここでは、採択を受ける可能性を高め、スムーズに補助金を受け取るための戦略を整理します。

    IT導入支援事業者と早期に連携する

    申請は、事務局に登録された「IT導入支援事業者(ベンダー)」と共同で行う必要があります。IT導入支援事業者は単なる販売者ではなく、申請手続きのパートナーです。過去の採択実績や、不採択だった場合のフォロー体制などを確認し、信頼できる業者を早めに選定しましょう。特に締切直前はベンダーも繁忙期に入るため、余裕を持った相談が鍵となります。

    参照:新規申請・手続きフロー詳細|IT導入補助金2025

    必須IDと必要書類の事前準備

    申請直前になって慌てないよう、以下の準備は早期に行ってください。

    • ●gBizIDプライムの取得
    • ●SECURITY ACTIONの宣言
    • ●必要書類の準備

    「賃上げ目標」で加点を狙う

    IT導入補助金の審査では、従業員の賃上げ(給与支給総額の増加など)を計画目標に盛り込むことで、審査上の加点(有利な扱い)を受けられる場合があります。また、申請する枠組みによっては賃上げが必須要件となることもあります。IT投資と同時に従業員への還元を計画することで、採択の可能性をグッと引き上げることができます。

    「つなぎ資金」の確保

    IT導入補助金は、「後払い」が原則です。ITツールの購入・支払いを全額済ませ、その実績報告をした後に、補助金が指定口座に振り込まれます。

    そのため、一時的に数ヶ月間は、全額を自社で立て替える必要があります。手元資金が不足する場合は、金融機関からの融資(つなぎ融資)や、補助金交付決定を担保にした「POファイナンス」などの活用を検討し、資金ショートを起こさないよう計画を立てておきましょう。

    IT導入補助金を使ったIT投資の成功事例

    IT導入補助金は、多くの中小企業にとって、業務効率化や生産性向上を実現する機会となっています。ここでは、IT導入補助金を使い、生産性向上を実現した企業の事例を紹介します。

    クラウド会計ソフト導入で業務効率化を推進

    株式会社タウン管理サービス様は、IT導入補助金を活用しクラウド会計ソフト「freee」を導入しました。Salesforceとの連携により情報の一元化と業務効率化を目指し、社員への丁寧な説明を重ねながら社内改革を推進。

    導入後は社員の意識改革や制度見直しが進み、家賃管理業務の7割を1割程度まで削減できる見込みです。今後は入居者対応などアナログ業務の削減にも取り組み、さらなるデジタルシフトを進めていく予定です。

    参考:デジタル化に向けた意識醸成と制度改革|IT導入補助金2025

    CADソフト導入で構造計算に対応、事業拡大へ

    株式会社マルサン様は、在来木造住宅用の木質部材を製造・販売する企業です。2025年4月施行予定の「4号特例」縮小を契機に、IT導入補助金を活用してCADソフト「ARCHITREND ZERO」を導入しました。

    これにより自社で構造計算が可能となり、専門部署も新設。技術者育成も進み、既に複数の社員がスキル習得に挑戦しています。営業成果は今後の施行後に現れる見込みですが、取引先が多い同社にとって大きな成長機会と期待されています。さらに将来的には人事労務や勤怠管理のデジタル化も検討し、全社的なIT化を推進していく方針です。

    参考:建築基準法改正に伴う事業拡大とデジタルシフト|IT導入補助金2025

    まとめ

    事例でも紹介したように、IT導入補助金は有効に活用すれば自社に大きなメリットをもたらします。申請の締切まであと僅かとなりました。自社に合ったツールを見つけて、自社の改善に役立てられるように、まずは自社の課題を整理することから始めましょう。そして、実際の対象製品を見ながら具体的な解決策を検討していくことをおすすめします。

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