
人事部の業務とは
人事部の業務は、バックオフィス部門のなかでも主に人材に関するものです。企業にとって欠かせない人的資源を扱うため経営上でも重要な役割を果たします。労務部などと兼任することがあり、対応業務の幅広さが特徴です。また業務により、法知識や作業の正確さを求められることも多い部署です。
人事部の役割は、大きく分けて2つあります。
- 人事部の役割
- ■経営陣の補佐的役割を行う
- 企業経営・戦略に合う人材の確保・育成は、企業を活性化するうえで必要不可欠です。経営陣と企業戦略を共有し、パートナーとして人材の管理や開発を行います。
- ■人材の流動性に対応し、長く働ける人材を確保する
- 終身雇用が崩れ、さまざまな働き方が認められるようになった現在においては、人材の流動性も高くなってきています。人事により注力し、人材育成や評価制度など長く働きやすい環境を整備する必要があります。
人事業務の内容
人事部は従業員の採用・教育・人事評価や、勤怠管理・給与計算・社会保険手続きといった労務管理などを主な業務としています。それぞれ詳しく見ていきましょう。

採用
会社の経営方針に則った採用計画をもとに、新卒や中途の採用活動を行います。近年はFacebookやTwitterなどのSNSによる施策を行う企業も多く、ソーシャルメディア運営も人事業務の一つである場合があります。
採用業務においては、企業の求める人材を把握し、それに一致した人材を見極めることが最も重要です。しかしそのほかにも募集や応募者の管理、セミナーや面接時間の調整や会場の確保などさまざまな業務があり、人材の選定に集中できないケースも少なくありません。
教育・研修
人材の育成計画に沿って、教育や研修の立案・実行を行います。一般的に、上司や先輩社員が後輩を指導・育成するOJTは従来の教育手段です。しかし、この方法では指導者である先輩社員の能力や相性によって、教育成果に偏りが出るリスクを防げません。そのため近年は、外部の専門会社に教育や研修を委託するケースが増えつつあります。
研修には「職種別」と「役職別」の2種類があります。
- ■職種別の研修
- 営業研修や技術研修など、専門スキルや知識を身につけるためのもの。
- ■役職別の研修
- キャリアや役職に応じて、必要とされるスキルを身につけるためのもの。新人研修では基本的なビジネスマナーや業界・会社の基礎知識を実施し、管理職の研修ではマネジメント能力などに関する研修を実施する。
評価
従業員の目標管理・評価・報酬に関する人事評価制度を、仕組み化する仕事です。評価は従業員のモチベーションの維持・向上に関わる重要な業務であり、公正な評価が欠かせません。評価制度の欠陥が離職率の上昇につながるケースもあるため、業務や役職にあった適切な評価方法を用いる必要があるでしょう。
人事異動・配置
企業の事業計画に沿って、従業員の転勤や部署異動を行います。企業の人員配置計画に沿った理由で行われることもあれば、個人の成長促進を目的に行われる場合もあります。具体的には、社内公募やFA制度、自己申告などです。これらの制度では、人事部側で制度の公表・募集・応募者の管理・選考業務などが発生します。
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【一覧表】人事と労務の業務の違い
同じ部署が担当することもある人事と労務。どちらも従業員に関わる業務ですが、どのような違いがあるのでしょうか。業務の目的や内容を一覧表にまとめました。
人事 | 労務 | |
---|---|---|
目的 | 人材によって組織を活性化させること | 従業員が安心して働くための組織づくり |
業務内容 | 人材管理・人事評価・異動・教育など | 給与計算・労働時間管理・入退社手続きなど |
必要なスキル | ・自社での相応の勤続経験 ・スケジュールを意識した進捗管理 ・社交性 ・コミュニケーション能力 | ・労働関係の法知識 ・法改正など継続して学び続ける姿勢 ・作業の正確性 |
向いている人 | 観察力があり明るく社交的な人 | 地道な作業が得意な人 |
労務は従業員の入社から退職までの一連の業務を担当するのに対し、人事は採用・教育・評価などの従業員と直接かかわる業務を担当する点が大きな違いといえます。
さらに以下の記事では、人事と総務の違いについて、仕事内容や年収などを詳しく比較し紹介しています。それぞれの業務について理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
人事業務に必要なスキル
人事業務は、以下のようなスキルをもつ人が向いています。

第一に、従業員とかかわる機会が多いため、高いコミュニケーション能力が求められます。例えば、採用面接では企業の顔として求職者に最初に対面するため、企業の印象を決める重要な役割があるといえます。また配置や採用など、人材の適材適所を見極めるのにもコミュニケーションスキルが必要でしょう。
次に、社内トラブルに対応できる問題解決能力や、労務・人事の専門知識も求められます。また、事務作業も多いため、正確でスピーディーな処理能力も必要です。さらに人事戦略などの企画・立案力があるとよりよいでしょう。
人事の業務を知ってキャリアアップにつなげよう
人事業務は企業と従業員を裏方でバックアップする仕事ともいえるでしょう。当然、それだけ重要な業務には専門的な知識と正確さ、そしてスムーズな遂行が求められます。
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