
ERPとは
ERPとは、「Enterprise Resource Planning(企業資源計画)」という意味で、企業の人材・設備・資金・情報などの資源を、無駄なく有効に活用するための考え方と、それを支える統合型のITシステムを指します。

ERPシステムの定義
ERPは、「会計・人事・生産・販売・在庫などの基幹業務を、統一されたプラットフォーム上で管理・連携するシステム」として定義されます。ERPという概念は、企業の全体最適を図るための業務統合思想に基づいており、それに沿って各部門の業務プロセスやデータを共通化・標準化することを目的としています。これにより、従来バラバラに運用されていた業務をリアルタイムに連携させ、経営判断の精度を高めることが可能になります。
ERPシステムの目的
ERPシステム導入の主な目的は、組織全体の業務効率化と意思決定の迅速化です。社内の情報を一元管理することで、重複作業や属人化を防ぎ、部門間の連携を円滑にします。また、データの可視化により、経営層が正確な状況を把握しやすくなり、戦略的な判断がしやすくなります。近年では、内部統制やガバナンス強化の観点からも注目されています。
ERPとSAPの違い
SAPとは、ERP製品を提供しているドイツのソフトウェア企業名、あるいはその製品ブランドを指します。つまり、ERPはシステムの「概念・カテゴリ」であり、SAPはその代表的な「製品名」という違いがあります。ERPにはSAP以外にも、Oracle、Microsoft Dynamics、奉行シリーズなどさまざまなベンダーによる製品があります。
以下の記事では、最新のおすすめERPについてタイプ別に比較・紹介しています。あわせてご覧ください。
基幹システムとは
基幹システムとは、企業活動の中核を担う「基幹業務」を支えるシステムの総称です。具体的な役割や基幹業務のIT化が進む背景について解説します。

基幹業務とは
そもそも基幹業務とは、企業の事業活動を根幹から支える主要な業務のことを指します。例えば、受発注・製造・物流・販売・会計・人事などが該当し、これらが正常に機能しなければ企業活動全体が滞ってしまいます。これらの業務を支える基幹システムは、企業の競争力を維持・向上させるうえで不可欠な存在です。
基幹システムの役割
基幹システムの主な役割は、企業の中核となる業務を安定的かつ効率的に遂行することです。販売管理・在庫管理・会計・人事・製造などの業務を支援し、日常業務を安定的かつ効率的に遂行するための基盤となります。これらの業務は、企業の事業継続や収益性に直結するため、システムが止まれば業務が止まるほど重要です。
また基幹システムは、経費精算・支払処理などの業務にも活用されています。これらの業務を別々のツールで管理していると、二重入力やミスの原因となるほか、不正リスクも高まります。ERPなどの統合型基幹システムを導入することで、経費情報を他の業務データと連携させ、一貫性のある管理を実現できます。
基幹業務のIT化が進む背景
近年、多くの企業で基幹業務のIT化が加速しています。紙や表計算ソフトに依存していた業務は、システムによって自動化・効率化されることで、ヒューマンエラーの削減や処理スピードの向上が実現します。また、IT化により業務の属人化が解消され、誰でも正確に業務を遂行できる体制づくりが進んでいます。
ERPと基幹システムとの違い
ERPと基幹システムは、どちらも社内の基幹業務を効率化する役割があるシステムです。ただし、目的や対応範囲、導入準備などさまざまな点において以下の違いがあります。
ERP | 基幹システム | |
---|---|---|
対応範囲と目的 | 企業全体の業務プロセスをサポート | 特定の業務プロセスのみをサポート |
統合性 | 複数の業務データを一つのシステムで一元管理する | 基幹システムは業務ごとにシステムが独立しており、個別に運用される |
連携性 | 統合されたプラットフォーム上でリアルタイムに連携される | 各システム間で個別に連携を行うため、定期的なデータ更新や同期が必要 |
カスタマイズ性 | 標準化されたプロセスにあわせるための調整が必要 | 特定の業務ニーズにあわせてカスタマイズできる |
コスト | 高い | 低い ※導入するシステムの数や範囲により変動 |
導入準備 | 多くの部署で導入するため、大掛かりになる(業務プロセスの統合と再設計、データ統合、従業員トレーニングなど) | 特定の業務のみのため、少ない工数で導入可能 |
詳しい違いに関しては、基幹システムとERPの各社製品を資料を用いて比較するとよいでしょう。ITトレンドでは、さまざまなERPを取り扱っており、企業規模や範囲にあわせて導入が可能です。以下のボタンからERP製品の一括資料請求(無料)ができるので、ぜひご利用ください。
ERPと基幹システムとのどちらが適しているか
適切なシステムを選定するには、企業規模や業務内容、成長段階、予算、将来のビジョンなどによって異なります。以下で企業の特徴に応じて、ERPと基幹システムのどちらを選択すべきかを解説します。
- ■ERPが適している企業
- ・広範な業務プロセスをもつ大企業や多国籍企業
- ・部門間の連携を強化し、業務の標準化を推進したい企業
- ・急速な成長にともない、業務プロセスが複雑化している企業
- ・リアルタイムでのデータ共有と意思決定が求められる企業
- ■基幹システムが適している企業
- ・初期費用や運用コストを抑えたい中小企業やスタートアップ企業
- ・特定の業務領域で高い専門性が求められる企業
- ・業務の種類や数が少なく、プロセスがシンプルな企業
近年の動向:基幹システムからERPへ
近年、基幹システムからERPへ切り替える企業が増加しています。基幹システムの老朽化やOSの古さ、技術的寿命の問題に加え、レガシーシステムを扱える人材の高齢化や人材不足が懸念されているためです。
日本企業に適したERPやクラウド型ERPは2010年頃から提供されはじめ、ビッグデータの活用や内部統制、業務効率化を目的に普及が進みました。各部署のデータを統合し、全社的に活用することでより効果的な経営が実現できるためです。このような理由から、現在では多くの企業がERPを導入しています。
他社がどのような製品を導入しているのか参考にしたい方は、以下の最新ランキングページもご覧ください。
ERPのメリット
さまざまな企業において導入が進んでいるERPには、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下で具体的に解説します。
- ■社内全体の業務最適化
- 部署を横断しさまざまなデータを一元管理できるERPなら、導入により社内全体の業務最適化が可能です。例えば法改正にともなうシステム変更が一度で済む、部署ごとに同じデータの二重入力が不要になりミスが削減するなど、業務効率化が実現するでしょう。
- ■迅速な経営判断
- これまで部署間で確認しなければならなかった情報が、ERPの導入で他部署からもデータを引き出せるようになります。その結果、より迅速な意思決定が下せます。
- ■内部統制の強化
- データを一元管理することで整合性を保ちやすくなります。アクセス制限やログ管理により、データ改ざん等の不正を防止し、内部統制を強化できます。
以下の記事では、ERPシステムの導入メリットについて詳しく解説しています。導入事例も紹介しているので、より具体的にERPシステムのメリットを知りたい方はあわせて参考にしてください。
まとめ
ERPと基幹システムは、活用目的や対応範囲が異なり、時代の移り変わりとともに従来の基幹システムをERPに統合する企業が増えてきています。バラバラに散在するデータを収集・分析し、経営状況の把握や経営スピードの改善を目指すならERPの導入をおすすめします。
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