データベースとは
データベースとは、ある特定のデータを収集し、使いやすい形に格納した情報群のことです。「db」や「データーベース」と表記されることもあります。企業に蓄積されたデータは適切な現状把握や予測に欠かせないもので、企業の意思決定に役立つでしょう。しかし、情報が整理されていないと必要なときにスムーズに抽出し活用できません。
必要な情報を見やすい形で取り出すことを可能にしたのが、データベースです。データをそのまま表示したり、グラフのように視覚的に整えたりできます。現代のビジネスにおいては、データベースの利用は必須といえるでしょう。
データベースの種類
ここでは、データベースの種類について解説します。それぞれの特徴や違いを比較しましょう。

階層型データベース:ツリー状に構成
1つめの種類は「階層型データベース」です。階層型データベースでは、1つのノードから下に複数のノードが派生し、ツリー状に展開します。基本的に親ノードと子ノードは1対n(複数)の関係になり、子ノードが複数の親ノードをもつことは不可能です。そのため、あるノードへのルートが限定的になり、速度が速くなるというメリットがあります。
一方、例えば子ノードが複数の親ノードをもちたい場合、重複登録を行う必要があります。同じノードを複数入力するのはデータ的に不自然なため、この点がデメリットです。また、データの追加や削除を行った場合はルートを再登録する必要もあります。そのような柔軟性に欠けるのも、階層型データベースの難点です。
ネットワーク型データベース:網状に構成
ネットワーク型データベースでは、1つの子ノードが複数の親ノードをもてます。それにより、階層型データベースで課題だった重複登録を避けられます。ネットワーク型データベースの「ネットワーク」は、そのようにノードの繋がりが網目状になるところから名付けられました。
しかし、階層型ネットワークと同様、プログラムがデータ構造に依存してしまう問題は解決されていません。データ構造への依存性が高い場合、データベースのメリットである「データの容易かつ柔軟な取り扱い」に支障をきたしてしまいます。
リレーショナルデータベース:表で構成
リレーショナル型データベース(RDB:Relational Database)は、わかりやすくいえば列と行で構成された表形式の構造をもち、「企業名」「所在地」「資本金」といった項目を列に、具体的なデータを行に入力する仕組みです。Excelのような表計算ソフトを思い浮かべると理解しやすく、構造化データの管理に適した関係データベース(リレーショナルデータベース)として、長く標準的なDB(データベース)管理方式として用いられています。
RDBを制御・運用するには、SQL(Structured Query Language)を使って操作可能なRDBMS(Relational Database Management System)というDBMS(データベース管理システム)が必要です。
「RDBMS」と「NoSQL」の違い
リレーショナルデータベースの仕組みを用いた「リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)」が広く知られる一方、RDBMS以外のデータベースをNoSQLといいます。これらの違いは、データベースを制御するための言語であるSQLを使用するか否かです。それぞれの違いや特徴を解説します。
RDBMSとは
RDBMS(Relational DataBase Management System)とは、リレーショナルデータベースを管理するためのシステムであり、SQL(Structured Query Language)を用いて操作する仕組みです。日本語では「関係データベース管理システム」と訳されます。RDBMSの定義としては、表形式で構造化されたデータを効率よく格納・検索・更新・削除できるように設計されたデータベース管理ソフトウェアである点が挙げられます。
RDBMSの特徴は、データの整合性や一貫性を保ちやすく、トランザクション処理や複雑な検索機能にも対応できる点にあります。業務システムや会計管理など正確なデータ処理が求められる分野で広く導入されています。
- RDBMSのメリット
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- ■SQLによる操作を行える
- ■複雑なデータの扱いが容易
- RDBMSのデメリット
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- ■データの整合性を保つ代わりに処理が遅くなる
- ■仕様変更への柔軟性が低い
RDBMSの主要製品
RDBMSの製品としては、Oracle社の「Oracle Database」、Microsoft社の「SQL Server」などが挙げられます。また、サイトやWebアプリケーションを作る際によく用いられる「MySQL」もRDBMSの一種です。
- ■Oracle Database
- ■SQL Server
- ■MySQL
- ■PostgreSQL
NoSQLとは
NoSQLは「Not Only SQL」の略で、従来のリレーショナルデータベース(RDBMS)とは異なり、柔軟なデータ構造をもつ複数のモデルが存在します。代表的な種類には、セッション管理やキャッシュに適したキー・バリュー型、Webアプリケーションで柔軟な構造をもつドキュメント型、分析処理やBI用途に強いカラム型、SNSにおける関係構造を効率的に管理するグラフ型があります。
これらのNoSQLデータベースは、構造化・半構造化・非構造化データを幅広く扱えるため、急速に拡大するデータ量や多様な要件に対応したい企業にとって、有効な選択肢となっています。
- NoSQLのメリット
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- ■データの取得と格納が高度に最適化されている
- ■RDBMSを超えるパフォーマンスを誇る
- ■大規模なデータや多種多様なデータに対応可能
- NoSQLのデメリット
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- ■データの整合性を保てない
- ■データの加工が難しい
データベースを設計する際は、このような特徴を鑑みつつ、柔軟に行いましょう。
NoSQLの主要製品
知名度の高いNoSQLとして以下のような製品が挙げられます。
- ■HBase
- ■MongoDB
- ■Cassandra
RDBMSとNoSQLの使い分け方
業務データの正確な処理が求められる場面には、SQLで操作できるRDBMSが向いています。データ構造が明確で、整合性の確保に強みを持つため、会計や在庫管理などに最適です。
一方、構造が柔軟なNoSQLは、非構造化データや大規模データの高速処理に適しており、IoTやWebサービスで多く採用されています。データモデルの違いと処理要件を踏まえて、最適なデータベースを選びましょう。
RDBとNoSQLは併用できる?ハイブリッド運用の考え方
近年では、RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)とNoSQLデータベースを併用する「ハイブリッド構成」も一般的です。例えば、トランザクション管理はRDBで、リアルタイム分析やセンサーログ処理にはNoSQLを採用するケースがあります。用途に応じて複数のデータモデルを組み合わせることで、柔軟かつ効率的なデータ活用が可能となります。
人気のデータベースソフトを知りたい方は
以下の記事では、データベースソフトのおすすめ製品を比較できます。定番のリレーショナルデータベースやノーコードでシステム構築可能な製品も多数。参考価格や独自に集めたビジネスユーザーの口コミもあるので、ぜひ導入の参考にしてください。
データベースの種類をおさえて製品検討しましょう!
データベースには「階層型」「ネットワーク型」「リレーショナル型」の3種類が存在します。現在幅広く使われている種類はリレーショナル型ですが、万能というわけではありません。
そんなリレーショナル型の欠点である処理速度の遅さをカバーしたのが、NoSQL型です。データベースを設計および導入する際は、種類の違いを押さえ、適切な製品を検討しましょう。