一度に置き換えようとすると止まる。
たいてい、対象が多すぎて着手できなくなります。
システムを入れた会社でも、手元の表計算は残っているのが普通です。
全部やめると決めた瞬間に、対象の洗い出しだけで数か月かかります。
問われているのは、やめるかどうかではなく、どこまでを残すかです。
線引きは人数で決まる。
まず、その数字を何人が触るかを見ます。
1人の試算や一度きりの分析は、表計算のほうが速い。
複数の部署が毎月同じ様式で更新し続ける数字は、表計算には向きません。
共有して更新し続けるものだけを移す、という切り方が現実的です。
移す側の見分け方。
たとえば、次のどれかに当てはまる数字はシステムへ移したほうが手間が減ります。
- 毎月、同じ様式で更新している。
- 2人以上が同じファイルを触る。
- 関数が壊れていないかを確認する作業が発生している。
- 担当者が変わると引き継ぎ資料が要る。
どれにも当てはまらないなら、残して構いません。
残す側にもルールは要る。
ただし、残したほうにも決めておくことがあります。
どこまでが個人の作業で、どこからが全社の数字かの境目です。
境目が曖昧なままだと、個人のファイルの数字が会議資料に紛れ込みます。
同じ項目の数字が2つ出てきて、どちらが正かを確かめる時間が発生します。
全社の数字はシステムから取る、と決めておけば、数字が混ざることはありません。
表計算が消えなくても構わない。
残っていること自体は、問題ではありません。
問題になるのは、どちらの数字が正なのかが決まっていないときだけです。
線引きさえできていれば、両方を使い分けたまま運用は回ります。
移行の成否は、どれだけやめたかではなく、境目を決められたかで決まります。

