情報共有とは
情報共有とは、業務に必要な情報やノウハウ、進捗状況などを関係者間で共有し、組織全体の生産性や連携力を高める取り組みです。社内の情報共有は、プロジェクトの円滑な進行、トラブルの早期発見・対応、意思決定のスピード向上など、多くのメリットがあります。
なお、情報の共有化とは、こうした情報共有を一時的な行動にとどめず、仕組みや文化として組織内に定着させていく継続的な取り組みを意味します。情報の共有化を進めることで、ナレッジの蓄積や業務ノウハウの継承が促進され、組織の学習力や競争力の向上にもつながります。
社内の情報共有化がうまくいかない原因と課題
社内で情報共有がうまくいかない場合、その背景にはいくつかの共通した原因があります。ここでは代表的な課題を紹介します。
共有ルールが定まっていない
どの情報を誰がどのタイミングで共有するかといったルールがないと、社員ごとに共有の基準が異なり、必要な情報が集まらなくなります。結果として、確認作業が増えたり、情報の抜け漏れが生じたりする恐れがあります。
ツールやフォーマットがバラバラ
情報共有に使用するチャットやメール、Excelなどのツールが部署や担当者によって異なると、情報の管理や検索が煩雑になります。統一されたプラットフォームの活用がないと、必要な情報が埋もれやすくなります。
情報共有への心理的ハードル
「この情報を共有していいのか」「上司に知られたくない」「反応が怖い」といった心理的な障壁により、共有が滞るケースもあります。風通しのよいコミュニケーション文化がないと、自発的な共有は生まれません。
共有の目的が不明確
何のために共有するのかが明確でないと、情報がただ蓄積されるだけで活用されません。共有した情報が業務改善や課題解決に役立つ実感がなければ、社員のモチベーションも低下してしまいます。
これらの原因を踏まえたうえで、適切な共有方法・ルール・環境を整備することが、社内の情報共有を円滑に進めるカギとなります。
情報の共有化を行う方法
社内での情報の共有化方法について3つのステップで解説します。
1.共有に必要な情報を明確にする
情報には共有すべきものとそうでないものがあります。共有すべき情報の例を見てみましょう。
- ■共有すべき情報
- ・スケジュール・タスク
- ・宅配・郵送関連
- ・顧客・案件情報
- ・進捗状況
- ・トラブル
上記の情報を共有すると、業務が円滑になったりトラブルへの対応が迅速になったりと、色々なメリットを得られます。一方、以下の情報は共有すべきではありません。
- ■共有すべきでない情報
- ・プライベートなこと
- ・すでに共有されているトラブル
- ・個人的な意見
- ・経営情報
上記の情報を共有しても、業務の役に立つ可能性は高くありません。むしろ、余計な情報として業務の邪魔になるおそれがあります。
このように、共有すべき情報とそうでない情報の種類を明確に分けましょう。明確にした基準を社内で周知すると、必要な情報のみが共有されるようになります。
2.共有手段を決定する
続いて、情報共有の手段を決めましょう。社内の情報共有の代表的な方法を紹介します。
- ■チャット
- 情報を伝えたい相手に、チャットツールで文章を送る方法です。文章だけでなく画像や映像、その他ファイルの共有もできます。後で確認しやすいうえ、リアルタイムにやり取りしやすいのも特徴です。
- ■ナレッジマネジメントツール
- 人材や部署に蓄積された、有益な情報や知識を共有するのに有効なツールです。FAQやファイル共有、情報検索などの機能を持ちます。
- ■タスク管理ツール
- タスク管理ツールは、プロジェクトの進捗状況を管理するITツールです。このツールにアクセスすれば、終わったタスクや残っているタスクを一目で確認できます。
- ■SFA・CRM
- SFAは営業支援ツール、CRMは顧客管理ツールです。どちらも営業活動をするうえでの情報共有に役立ちます。たとえば、顧客との商談履歴やアポイントメントを管理できます。
3.情報共有のルールを策定、周知する
最後に行わなければならないのが、共有ルールの策定です。ルールが定まっていなければ、共有された情報を適切に扱えないからです。たとえば、Aさんは営業報告をメールで送ってくるのに、Bさんは共有ツールに直接アップする…というやり方では混乱が生じます。どこに何が保存されているのか分からなくなり、後で確認するのが大変です。
そのため、「いつ」「誰が」「どのタイミングで」など、情報共有についてルールを定めなければなりません。ルールが明確になるだけで余計な確認の手間がなくなり、企業全体の生産性が向上します。

情報の共有化を行う際のポイント
情報の共有化を行う際に気をつけるべきポイントを解説します。
目的を明確にする
情報の共有化を図ったが、雑多な情報が増えるばかりで活用できなかったという事例も珍しくありません。このような失敗をしないために必要なのが、目的の明確化です。
トラブルの情報を共有するのはなぜでしょうか。基本的には、同じトラブルが生じた際の対処を容易にするためです。したがって、すでに共有されているトラブルの事例を再度共有する必要はありません。むしろ、余計な情報が増えて必要な情報を探す際の邪魔になる可能性があります。
このように、目的を明確化すれば共有すべきかどうかの判断が可能になり、必要な情報だけを蓄積できます。
情報共有されやすい雰囲気を作る
情報の共有は、自発的に行われるべきものです。全社員が積極的に情報共有に取り組むことで、有益な情報が蓄積されます。
そこで必要になるのが、情報共有をしやすい雰囲気づくりです。「こんなことを共有してよいのか」「今はタイミングが悪いのではないか」といった懸念を払拭する環境を整えましょう。
具体的には、いつ何をどのように共有するのかを明確化します。そして、積極的に情報を提供してくれた人にはインセンティブを付与するなどし、動機付けを行いましょう。この繰り返しによりモチベーションを高めれば、自然と情報が共有されるようになります。
情報の共有化を効率よくすめるために
今まで情報の共有化にはExcelで管理されるケースが主流でしたが、Excelは同時に複数メンバーでの編集ができないことや、ナレッジがふえるにつれ管理が難しくなり、すぐに必要な情報を探しづらくなるデメリットがあります。そのため最近ではナレッジマネジメントツールを導入する企業が増えています。
ナレッジマネジメントツールは、情報や知識を共有することによって企業全体の活性化や課題の早期解決につなげるもので、企業規模や予算にあわせてたくさんの製品があります。こちらの記事ではナレッジマネジメントツールについてくわしく解説しています。ぜひ参考にしてください。
まとめ
情報の共有化を図るには、共有に必要な情報と手段を明確にし、ルールを策定、周知する手順が必要になります。 社員一人ひとりの知識や経験、部署に蓄積された有益な情報を共有し、企業をより活性化させ、生産性を高めましょう。
