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決算個社IT・インターネット2026年05月22日

【rakumo株式会社(4060)徹底解説】“組織改革支援”へ領域拡張するSaaS企業

【rakumo株式会社(4060)徹底解説】“組織改革支援”へ領域拡張するSaaS企業

rakumo株式会社は、企業向けグループウェア製品「rakumo」を中核に、人材管理・採用支援の「aloop」、社内SNS型日報アプリ「gamba!」、IR動画配信システム「SmartVision IR」などを展開するSaaS企業です。2025年12月期は、売上高18億30百万円で前期比26.8%増、営業利益4億28百万円で同11.6%増となり、増収増益を確保しました。

一方で、営業利益率は23.4%と前期の26.6%から低下しています。背景には、M&A関連費用や株式報酬費用、子会社連結に伴うのれん償却費の増加があります。つまり、足元では利益を出しながらも、次の成長領域に向けて投資を進めている決算です。

今回の決算で見えてくるのは、同社が単なるグループウェア補完ツール企業ではなく、「組織改革支援企業」を目指して、既存SaaSの拡大、新領域プロダクト、M&Aを並行して進めていることです。IT・業務視点で見れば、社内コミュニケーション、情報共有、人材管理、Microsoft 365連携、AIアシスタントまで、企業の内部業務基盤そのものに入り込もうとしている企業と考えます。

1. 市場背景と業界構造

rakumo株式会社が属する市場は、企業の生産性向上、業務効率化、テレワーク、DXを支える業務SaaS市場です。この分野への投資需要拡大が引き続き見込まれるとされています。背景には、政府によるテレワーク環境整備、デジタル人材育成、DX加速の方針があり、加えて「労働力の減少」「新しい働き方の定着」「生成AI等の新技術の登場」によって、組織内のコミュニケーションや情報共有の課題が顕在化していると説明されています。

この市場の特徴は、単なるIT導入ではなく、組織運営のやり方そのものを変える必要があることです。たとえば、スケジュール共有、社内掲示板、日報、人材管理、採用、社内情報の流通、グループウェア連携などは、どれも日常業務の基盤です。業界構造としては、一般的に単機能のSaaSを提供する企業、グループウェア基盤の上に拡張機能を載せる企業、人事・採用・コミュニケーションなど周辺領域へ広げる企業に分かれます。rakumo株式会社は、この中で「既存グループウェアとの親和性を持ちながら、周辺領域へ広げるタイプ」に位置づけられます。特に今回の決算では、「rakumo for Microsoft 365」の提供開始や「aloop」の展開などから、既存プロダクト依存ではなく、組織運営全般へ領域を広げようとしていることが確認できます。

この業界でIT化・データ化・自動化が影響するのは、社内の情報共有、組織コミュニケーション、人材採用・配置、日報や会議の記録、業務通知などです。rakumo株式会社は、それらの業務プロセスを“受ける側”ではなく、“支える側・変える側”にいる企業です。

2. 過去数年の業績推移

2025年12月期の売上高は18億30百万円で、前期の14億43百万円から26.8%増加しました。前期の成長率11.4%を上回っており、売上成長は加速しています。営業利益は4億28百万円で前期比11.6%増、経常利益も4億28百万円で14.0%増、親会社株主に帰属する当期純利益は2億72百万円で7.6%増となりました。

ただし、売上高営業利益率は26.6%から23.4%へ低下しています。これは、収益性が悪化したというより、費用の性格が変わった結果です。継続的な費用低減施策とSaaS売上の成長によって売上原価率は改善した一方、M&A関連費用、株式報酬費用、スタートレ社とエージェントシェア社の連結に伴うのれん償却費などで販管費率が上昇したとされています。

売上区分では、「rakumoサービス」が14億14百万円で前期比17.3%増、「その他サービス」が4億15百万円で75.1%増です。つまり、主力のrakumoサービスが安定成長を続ける一方、M&Aや新規領域を含むその他サービスが大きく伸びており、成長の第二軸が形成されつつあります。

IT導入との相性という観点では、同社の収益はSaaS中心で、契約負債も6億93百万円あります。これは、継続利用型の収益基盤が厚いことを示しており、業務基盤系SaaSとしての安定性を持つ構造です。

3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で会社側が強調しているのは、開示区分の変更です。従来の「SaaS」「ソリューション」「ITオフショア開発」から、「rakumoサービス」と「その他サービス」の2区分へ変更しました。これは、サービスごとの中期的重要度と、「rakumoサービス」の独立性をより明確に示すためです。つまり、会社としても、どこが核でどこが拡張領域かを意識した説明に変えています。

KPI面では、rakumo関連サービスのクライアント数は2,552社、ユニークユーザー数は57.9万人です。前期比で社数は79社増、ユーザー数は6千人増となっており、顧客基盤は着実に拡大しています。爆発的というより、解約率低減も含めた積み上げ型の成長です。

トピックスとしては、株式会社スタートレと株式会社エージェントシェアの新規子会社化が大きいです。また、2025年10月1日には一部rakumo製品の利用料金改定を実施しています。さらに、パソナとAvePoint Japanとの業務提携も実施しており、販売・連携・導入文脈を広げようとしている様子がうかがえます。

新規事業・新サービスでは、人材管理・採用支援ソリューション「aloop」、Microsoft 365向けの「rakumo for Microsoft 365」、AIアシスタント機能「rakumoエージェント」が挙げられます。これは、社内情報共有だけでなく、人材領域とAI活用にまで対象業務を広げていることを意味します。

技術投資の面では、生成AIなどを活用した新機能追加が明記されており、「rakumoエージェント」はその象徴です。単なる既存グループウェアの補完ではなく、組織の業務支援レイヤーにAIを差し込む動きが始まっています。

4. 事業構造と収益モデルの解説

rakumo株式会社の主力商品は、企業向けグループウェア製品「rakumo」です。これに加え、人材管理・採用支援の「aloop」、社内SNS型日報アプリ「gamba!」、IR動画配信システム「SmartVision IR」、WebサイトCMS「STARTRE CMS」、人材紹介会社向けアライアンスサービス「AGENT SHARE」などを展開しています。

業務プロセスとの関係で整理すると、「rakumo」は社内スケジュール、連絡、情報共有といった日常業務の基盤です。「aloop」は人材管理や採用業務、「gamba!」は日報や現場報告、「SmartVision IR」はIR情報発信、「STARTRE CMS」はWeb管理、「AGENT SHARE」は人材紹介会社向けの業務連携です。つまり、同社の事業は“社内コラボレーション”だけでなく、“組織運営全体”へ広がっています。

収益モデルは明示的なストック/フロー内訳こそありませんが、各種SaaSプロダクトが中核であり、SaaS売上高が順調に成長しているとされています。契約負債6億93百万円という数字からも、継続利用型の売上構造が厚いと考えられます。

売上構成では、「rakumoサービス」が全体の中心で14億14百万円、「その他サービス」が4億15百万円です。IT導入の観点では、同社の強みは“社内基盤の使い勝手改善”にとどまりません。人材管理、採用、AIアシストまで含めて、組織の運営レイヤーに広く関わる点にあります。

5. 業界の注目ポイント

ポイント1:グループウェア周辺は“補完機能”から“業務基盤”へ変わっている
社内予定表や掲示板だけではなく、人材管理、採用、日報、Microsoft 365連携までが同じ文脈で求められています。これはIT導入で改善可能な領域であり、分断された社内ツールを整理したい企業ほど重要度が増します。

ポイント2:生成AIは社外向けではなく、社内業務支援に入り始めている
「rakumoエージェント」の正式リリースは、AIが社内業務支援の標準機能になり始めていることを示します。これはIT導入で改善可能な領域で、特に情報検索、要約、社内ナビゲーションの効率化と相性が良いです。

ポイント3:労働力減少時代には“組織の回り方”を変えるSaaSが重要になる
労働力減少、新しい働き方、DX推進という外部環境の中では、単なる個人の作業効率化より、組織全体の情報共有や運営効率化の価値が高まります。これもIT導入で改善可能な領域で、導入効果は現場業務だけでなく管理部門にも及びます。

6. ITトレンド編集部の考察

rakumo株式会社は、もはや単純なグループウェア拡張企業ではありません。今回の決算から見えるのは、「組織改革支援企業」という自社の定義に沿って、既存SaaSの深掘りと周辺領域への展開を同時に進めていることです。

この会社が向いているのは、まず大手自治体や、医療、建設、教育など、情報共有の複雑さや組織運営の標準化が課題になりやすい領域と考えます。新たな案件創出が順調とされており、単純な民間オフィス利用だけでなく、組織構造が複雑な現場との相性が見えます。

IT投資余地という観点では、同社はまだ十分に余地があります。既存のrakumoサービスは安定した基盤ですが、それに加えて「aloop」「rakumo for Microsoft 365」「rakumoエージェント」を広げようとしています。つまり、導入企業にとっては、単一製品導入ではなく、組織運営を束ねる複数プロダクトの組み合わせとして評価する局面に入っています。

比較検討時のポジションとしては、汎用的なSaaS群の一つというより、社内コミュニケーションと組織管理の両方にまたがる“業務内製化・標準化支援”のプレイヤーです。特に、Google WorkspaceやMicrosoft 365といった既存基盤の上で、現場の運用不足を埋めたい企業にとって比較対象になりやすいでしょう。

7. まとめ

rakumo株式会社を一言で表すなら、「グループウェア周辺から組織運営全体へ広がるSaaS企業」です。

2025年12月期は、売上高18億30百万円で前期比26.8%増、営業利益4億28百万円で11.6%増と、増収増益を確保しました。主力のrakumoサービスが伸び続ける一方、M&Aと新サービスによって“その他サービス”が大きく成長している点が特徴です。

市場ポジションとしては、社内コミュニケーション・情報共有のSaaSを核にしながら、人材管理、採用、Microsoft 365連携、AIアシスタントまで広げる企業です。IT・業務観点では、単なる業務効率化ツールではなく、労働力減少時代の組織運営そのものを支える基盤として見るべき企業です。今後の注目点は、既存rakumoサービスの継続成長に加え、新領域プロダクトとM&Aをどう一体化し、“組織改革支援”という位置づけを本当に形にできるかにあります。

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