株式会社アルカディアは2026年10月13日、同社が運営する一斉情報配信サービス「SpeeCAN RAIDEN」が第三者による不正アクセスを受け、個人情報が漏えいした可能性があると発表した。漏えいの可能性があるメールアドレスは、推定で最大約313万6000件にのぼる。
同サービスを使って防災情報などを配信している自治体も、相次いで影響を公表している。さいたま市は防災行政無線メールの登録者のメールアドレス3万4783件、横須賀市は防災情報メールの登録者のメールアドレス4万7065件などが漏えいしたおそれがあるとしている。
不審な挙動の確認から侵入経路の遮断まで
アルカディアによると、10月11日16時30分にSpeeCAN RAIDENで不正アクセスが疑われる不審な挙動を確認した。翌12日3時ごろに侵入経路を塞ぐ応急措置を講じ、影響範囲を特定するための調査を始めた。原因は、第三者による不正アクセスとしている。
10月13日の調査で、外部からの侵入経路が判明した。同社は被害の拡大を防ぐため、侵入経路となっていたSpeeCAN RAIDEN(raiden3.ktaiwork.jpの顧客)と「ライデン・スクール」(s2.ktaiwork.jpの顧客)を緊急停止した。不正なアクセス元のIPアドレスを特定してアクセスを拒否する設定も行い、停止していないサービスについては、サーバーを点検して不正なプログラムが設定されていないことを確認したという。
漏えいの可能性がある情報と件数
漏えいの可能性があるのは、SpeeCAN RAIDENで扱っている連絡先の名前、メールアドレス、電話・FAX番号、担当者・契約情報である。履歴として保存されている配信本文の内容も含まれる。対象は、raiden.ktaiwork.jpやraiden2.speecan.jpなど6つのサービスURLだ。
最大件数の推定値は、メールアドレスが約313万6000件、電話番号が約10万5000件、FAX番号が約1万5000件である。同社は、この件数はあくまで推定値で、調査を続けているとしている。SpeeCAN RAIDENではクレジットカードなどの決済情報を扱っていないため、漏えいの対象ではないという。
「NET119」「119RAIDEN」にも不正アクセスの形跡
アルカディアは10月14日15時の更新で、同社の「NET119」と「119RAIDEN」にも不正アクセスの形跡があり、個人情報が漏えいした可能性があると公表した。漏えいの可能性がある項目には、利用者の名前、生年月日、性別、住所、電話番号、メールアドレス、FAX番号などが含まれる。最大件数は約1万3000件で、メールアドレスは約9万7000件、電話番号は約1万7000件、FAX番号は約400件としている。
その後の更新で、119RAIDENの一部URLは対象外であることが分かったと訂正した。また、NET119の映像通報については、現時点で漏えいの可能性はないとしている。同社は影響範囲を広げ、全サービスを対象に不正なプログラムが設定されていないか調査を進めている。
自治体は配信停止や注意喚起で対応
さいたま市では、10月13日に市民から不審なメールを受信したとの問い合わせがあり、アルカディアに確認して不正アクセスを把握した。漏えいした可能性があるのは、防災行政無線メールの3万4783件のメールアドレスと、災害時防災情報電話サービスの73件の氏名・電話番号である。同市は登録者への周知と注意喚起を行っている。
横須賀市でも、登録者から不審なメールの問い合わせを受けて事案を把握した。防災情報メール、防災情報FAX、防災情報電話、よこすか防犯あんしんメールの4サービスで、合計6万人分弱の連絡先が漏えいしたおそれがある。同市はこれらのサービスを停止し、公式サイトやSNS、防災行政無線で情報を発信している。個人情報保護委員会への報告も行った。
アルカディアは管理者に対し、登録者へ不審なメールやメッセージへの注意を呼びかけるよう求めている。身に覚えのない送信元のURLや添付ファイルを開かないこと、個人情報やパスワードを入力しないことを周知してほしいとしている。
企業への示唆
一斉配信サービスや安否確認サービスを社員・顧客向けに使っている企業は、まず自社が利用するサービスの提供元と、登録している連絡先の範囲を確認したい。今回の事案では、連絡先だけでなく配信履歴の本文も漏えいの対象に含まれている。過去の配信内容に社内の情報や個人を特定できる内容が含まれていないかも点検しておく必要がある。
横須賀市やさいたま市では、漏えいが分かる前に登録者へ不審なメールが届いていた。配信サービスの送信元を装ったフィッシングに備え、登録者に向けた注意喚起の文面と連絡手段を平時から用意しておくとよい。
委託先の選定・管理の観点では、事故発生時の連絡体制や公表の手順、調査結果の報告方法を契約で確認しておきたい。防災情報のように止められない用途のサービスでは、サービス停止時に使う代替の連絡手段を決めておくことも重要になる。
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まとめ
アルカディアの一斉情報配信サービス「SpeeCAN RAIDEN」が不正アクセスを受け、メールアドレス最大約313万6000件などが漏えいした可能性がある。同社の「NET119」「119RAIDEN」にも影響が広がり、全サービスを対象に調査が続いている。
さいたま市や横須賀市は、防災メールなどの登録者への注意喚起やサービス停止で対応している。配信サービスを使う企業は、登録情報と配信履歴の範囲を確かめ、なりすましメールへの備えを進めたい。

