AI・機械学習
2026年10月01日

デジタル庁、熊本地震の被災自治体への「ガバメントAI 源内」緊急提供を終了——一部自治体は年度末まで延長

デジタル庁、熊本地震の被災自治体への「ガバメントAI 源内」緊急提供を終了——一部自治体は年度末まで延長

デジタル庁、熊本地震の被災自治体への「ガバメントAI 源内」緊急提供を終了——一部自治体は年度末まで延長(写真はイメージ)

デジタル庁は2026年9月30日、熊本地震の被災自治体などに緊急提供していた生成AI利用環境「ガバメントAI 源内」の提供を終了したと発表した。ただし、要請のあった一部の被災自治体については、2026年度末まで提供を再延長している。

源内は、デジタル庁が政府職員向けに提供している生成AIの利用環境だ。7月28日午後に熊本県で最大震度7の地震が発生したことを受け、翌29日から被災自治体や応援に入る機関へ緊急提供していた。提供期間は約2カ月に及んだ。

災害対応の業務集中をAIで支える狙い

デジタル庁は緊急提供の目的として、大規模災害時に業務が一度に集中する点を挙げている。災害情報の調査・整理・分析など、平時をはるかに超える業務が発生するためだ。被災自治体などが臨時に源内を使い、関係業務を進められるようにしたという。

提供開始は7月29日の11時頃で、地震発生から1日足らずで利用環境を開いたことになる。その後、8月19日に提供時期を更新し、9月30日をもって終了するとしていた。対象者の範囲や、利用に悩む人向けの案内も、提供期間中に順次追加されている。

被災自治体以外にも対象を拡大

利用できたのは、被災自治体だけではない。全都道府県と全市区町村も、災害時応援協定に基づく支援業務などのために対象とされた。消防本部や医療チーム、支援機関も含まれる。

具体的には、lg.jpドメインの自治体、or.jpドメインのボランティア団体・災害支援団体、go.jpドメインの政府機関が対象だった。災害対策基本法に基づく指定公共機関も利用できた。利用者数や利用件数などの実績は、発表では示されていない。

提供された機能と活用例

提供されたのは、チャット(対話型AI)、一部のAIアプリ、プロンプト例だ。チャットでは翻訳や専門用語の言い換え、文案作成、WordやPDFの内容解説ができ、通知文の作成や資料の要約に使えるとしていた。インターネット検索と組み合わせた最新情報の調査や、日本の法律に関する調査の機能もあった。

AIアプリには、PLaMo翻訳を使った日英翻訳や、音声ファイルの文字起こしが含まれる。複数ファイルの比較・差分分析、Excelのテキストを1行ずつAIで処理する機能も用意された。物資不足情報の一括抽出や、避難者数の推移グラフ作成、物資需給の集計といった活用例も示されている。

いわゆる「神エクセル」を分析しやすい表形式に変換する機能も提供された。手作業での整形が必要だったファイルを自動で変換できるという。一方で、利用者のデータを保存するストレージ機能や、データの共有・交換機能は提供されなかった。

企業への示唆

今回の事例は、生成AIが災害時の事務作業に実用的に使えることを行政が示したものといえる。企業でも、災害時には安否確認の集計や取引先への連絡文作成、被害状況の整理など、短期間に業務が集中する。BCP(事業継続計画)の中に、生成AIをどの業務に使うかを位置づけておくことが考えられる。

その前提として、平時から利用環境とルールを整えておく必要がある。源内は地震発生の翌日に提供を始めたが、これは政府職員向けの基盤がすでに稼働していたから実現できたものだ。社内で生成AIの利用ルールやアカウント管理が未整備のままでは、緊急時にすぐ使うのは難しい。

扱うデータの範囲にも注意したい。源内では、ストレージやデータ共有の機能を提供しなかった。災害時は個人情報を含むデータを急いで扱いがちなため、どのデータをAIに入力してよいかをあらかじめ決めておくことが重要だ。

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まとめ

デジタル庁は、熊本地震の被災自治体などへ緊急提供していた「ガバメントAI 源内」の提供を9月30日で終了した。要請のあった一部の被災自治体には、2026年度末まで延長して提供を続ける。

約2カ月の提供では、翻訳や文字起こし、Excel処理など災害対応の事務を支える機能が使われた。企業でも、平時のルール整備を前提に、災害時の生成AI活用をBCPに組み込むことを検討したい。

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