無料で在庫管理を行う方法
予算をかけず、無料で在庫管理を行うにはどのような方法があるのか、さっそく見ていきましょう。具体的な方法は以下のとおりです。
- ●エクセルで在庫管理表を作成する
- ●無料のスマホアプリで在庫管理を行う
- ●無料の在庫管理システムやフリーソフトを利用する
エクセルで在庫管理表を作成する
エクセルはビジネスシーンでもよく使用されるソフトであり、在庫管理表も作成できます。小規模な在庫管理業務の効率化に有効でしょう。
エクセルテンプレートを利用する
無料で提供されているテンプレートは数多くあり、在庫管理表や入出庫チェックリスト、棚卸表などをダウンロードして使用できます。
ただし、企業や業種によって適切な形式は異なるため、ダウンロードしたものに手を加えないといけないケースもあるでしょう。人が作成したテンプレートをもとにアレンジするとかえって難易度が上がり、一から作成した方が効率のよい場合もあるので注意してください。
エクセル関数を使って自作する
以下のようなエクセル関数を利用することで、在庫管理表を作成する方法もあります。
- ■SUMIF関数
- 足し算(SUM関数)をより機能的にしたものです。IF、つまり条件にあうものだけを選択的に合算できます。
- ■VLOOKUP関数
- 条件にあった数値を抽出するための関数です。その都度入力する必要がないため、入力ミスを減らせます。
- ■IF関数
- 設定した条件によって処理を変えられる関数です。例えば在庫が一定数以下になると、「要発注」などと表記するように設定が可能です。
このような在庫管理に必要な関数を駆使して、管理表を作成できます。
エクセルマクロを使って自作する
エクセル関数に比べると難しい印象のあるエクセルマクロですが、習得すれば自由度が高く、自動印刷や見積書の発行などが容易に行えるでしょう。ただし、プログラミング言語を利用するため複雑で上級者向けといえます。
エクセルを活用した在庫管理について興味のある方は、以下の記事も参考にしてください。
無料のスマホアプリで在庫管理を行う
無料アプリで在庫管理を行う方法もあります。スマホを活用してバーコードやQRコードを読み取れるため、ハンディターミナルなどの専用機器を導入しなくてもよい点がメリットといえるでしょう。具体的には以下の機能が搭載されています。
- ●アプリ画面から在庫データの登録・編集・確認・検索
- ●スマホカメラでQRコード、バーコードの読み取り・登録
- ●QRコード、バーコードと在庫データの関連付け
- ●期限切れや在庫数などに応じたアラート設定
アプリによって違いはありますが、主な機能は「在庫数の記録」と「検索」です。
専用システムと違い、使い慣れたスマホやタブレットを使用するため、操作性もよく、紙に書いていたときと同じ感覚でデータを入力できます。また、持ち運びしやすく片手で操作できるので、暗い倉庫内でも作業しやすいでしょう。
バーコードやQRコードを活用した在庫管理のメリットが知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
無料の在庫管理システムやフリーソフトを利用する
エクセルやアプリ以外にも、無料の在庫管理システムを導入する手もあります。例えば、オープンソースの在庫管理システムは自由にカスタマイズが可能なため、専門知識をもつ従業員がいれば自社業務にあわせて柔軟に仕様変更できるのが魅力です。
また、無料プランのある在庫管理システムも提供されています。ただし、機能や利用人数などが制限されることも多いので、小規模な企業や簡易的に利用したい企業に適しています。在庫管理システムとはどのようなものなのかを知るために、まずは無料プランをお試しで導入して、操作性や機能性を確認してみるのもよいでしょう。
以下の記事では、最新の在庫管理システムをわかりやすく比較しています。無料プランや無料トライアル付きの製品も紹介しているため、あわせてご覧ください。
フリー在庫管理システムを比較(小規模企業向け)
ここからは、小規模企業でも導入しやすい、無料で使える在庫管理システムやアプリ、フリーソフトを紹介します。特にクラウド型の無料プランが多く、必要に応じて有料プランへスムーズに以降できる点も魅力です。
zaico
- 操作がカンタン!PC・スマホから誰でも手軽に利用できる
- QRコード・バーコードでミス撲滅!データと物品の紐付け自動化
- クラウド共有。複数人同時にリアルタイムで最新データへアクセス
株式会社ZAICOが提供するクラウド在庫管理ソフト「zaico」は、最大200件の在庫データ登録と簡易検索が可能な無料プランが用意されています。有料プランもあり、低コストのミニマムプランではQRコードやバーコードを利用した基本的な在庫管理、さらにグレードを上げれば発注点管理やピッキングリストの発行も行えます。なお、無料・有料問わずクラウド会計ソフトfreeeとの連携が可能です。
在庫情報はクラウド上で管理され、スマホなどデバイスの機種変更や紛失時にもデータが損なわれる心配はありません。製造業や販売、小売業など、幅広い業界での利用実績も特徴です。
参考価格 | ミニマムプラン:月額3,980円~/3ユーザー ※無料プランあり | 無料トライアル | ◯ (31日間) |
主な機能 | 購買・調達/棚卸処理/消費期限/トレーサビリティ/預り在庫/ロット管理 |
zaicoを利用したユーザーの口コミ
以前はエクセルでまとめて管理されていた為、使い難くて限られた人しか使っていなかったが、ZAICOに変えてからいろいろな角度から検索が出来て尚且つ使い易いので、利用する人が増えた。
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もしかしたら絞り込みの機能にあるのかもしれないですが、検索する時に大文字、小文字が区別されてしまうので在庫登録者が大文字、小文字どちらで入力したかで検索に引っかからない時がある。
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SASO
日本標準機構が提供する「SASO」は、オープンソース型のフリー在庫管理システムです。幅広い業務に適用できますが、特にアパレルの在庫管理に適しています。
ラベル印刷機能を利用してバーコードによる数量管理、棚番管理が可能です。また、フリーロケーションによる在庫管理も行えます。保管スペースの有効活用や、収納効率アップにつなげられるでしょう。デモサイトがあるので、導入前に機能や操作感を確認したうえで検討できます。
クラプロ
ビズノード株式会社が提供する「クラプロ」は、iPhoneとAndroidのアプリに対応したクラウド在庫管理システムです。1ユーザーかつ商品数50点以内であれば、バーコードやQRコードのスキャン、在庫数アラートやABC分析レポートなどすべての機能を無料で利用できます。
商品数が300点まで対応している有料プランも月額980円のため、低コストでの運用が実現するでしょう。また、アプリだけではなく、Webブラウザでの利用も可能です。
Zoho Inventory
ゾーホージャパン株式会社が提供する「Zoho Inventory」は、在庫・受注・出荷・配送の一元管理が可能なオンライン在庫管理ツールです。PayPayモールやShopifyなどのECプラットフォーム、物流サービスとの連携にも対応。商品管理やバーコードスキャン、納品書・請求書の作成機能も備えており、在庫業務を効率化できます。
無料プランでは、1ユーザー・1倉庫・月間注文数50件まで利用可能。スモールビジネスや個人事業主に適しています。
Spes(スペース)
Spes株式会社が提供する「Spes(スペース)」は、初期費用・月額費用無料で利用できるクラウド在庫管理ソフトです。商品登録・在庫数の調整・棚卸・発注点の管理など、日常業務に必要な機能がひと通り揃っています。
マスター登録などに不安がある方は、月額980円のサポートプランを利用すれば設定から運用まで手厚い支援が受けられます。スマホ・PCのどちらにも対応しており、手軽にはじめられる点が魅力です。
無料製品を含め、主要な在庫管理システムをまとめて比較したい方は、以下の一覧からご覧ください。
フリー在庫管理アプリを比較(個人・家庭向け)
ここでは、個人や家庭で使える無料の在庫管理アプリを紹介します。シンプルな操作性で、ビジネス用途にも活用可能な製品をピックアップしました。
monoca(モノシー)
Sola株式会社が提供する「monoca(モノシー)」は、日用品や食品などの「家の在庫」をスマホで手軽に管理できる無料アプリです。シンプルなインターフェースで、在庫の追加・削除・残量のチェックが直感的に行えます。
家庭用はもちろん、個人事業主や小規模事業の在庫管理にも対応可能です。データはクラウドに自動保存されるため、機種変更時も安心して使い続けられます。
Tana(タナ)
Instoll株式会社が提供する「Tana(タナ)」は、写真とメモで棚の中身を「見える化」するアプリです。食品や生活用品のストックを視覚的に把握でき、買い忘れや重複購入を防げます。
無料で利用できるのは1人までで、2人目以降は1人あたり月額200円がかかります。個人利用だけでなく、共有機能を活用すれば家族やチームでの在庫管理にも対応可能です。
在庫管理アプリについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。無料・有料アプリの比較だけでなく、主な機能や活用メリットもわかりやすく紹介しています。
無料ツールで在庫管理を行う際の注意点
無料の在庫管理ツールやエクセルを使ってコストを抑える場合、注意すべきポイントがあります。ここでは、代表的な3つの注意点について詳しく解説します。
- ●エクセルは人的ミスの防止やリアルタイムのデータ反映が難しい
- ●無料のアプリやシステムは機能が制限されている
- ●セキュリティ対策が不十分な可能性がある
エクセルは人的ミスの防止やリアルタイムのデータ反映が難しい
エクセルでコストをかけない在庫管理は可能ですが、入力ミスの防止や属人化の解消などは難しいでしょう。ほかにも同時編集できない、数字をリアルタイムで反映しにくいといったデメリットもあり、在庫管理システムと比べて作業効率はあまりよくありません。社員数や拠点数、扱う製品数が少ない小規模企業向きの管理方法といえるでしょう。
在庫管理表の作成や管理にはエクセルを利用しつつ、データ入力はハンディターミナルやバーコードを使って自動化できるツールもあります。エクセルの在庫管理表を活かしながら効率化を目指す場合は、システムの導入もぜひ検討してみましょう。
無料のアプリやシステムは機能が制限されている
特に無料アプリにいえることですが、大抵の場合、機能が制限されています。在庫登録と数量確認など基本的な在庫管理機能は利用できても、入出庫管理や棚卸管理などの機能は有料版にしなければ利用できない場合があります。
そもそも在庫管理アプリは小売店やECサイトを対象としたサービスが多く、生産管理や販売管理、納品書の発行など、業務を円滑に進めるための機能は十分ではありません。また、生産管理システムや倉庫管理システムなど関連システムとの連携ができない製品も多くあります。
無料アプリを有料版にグレードアップして入出庫管理や棚卸管理機能などを利用するならば、在庫数の把握だけでなく、在庫分析やデータ抽出などもできる在庫管理システムの導入を検討するのが得策でしょう。
セキュリティ対策が不十分な可能性がある
無料で提供されている在庫管理ツールやソフトには、十分なセキュリティ機能が備わっていないケースもあります。ウイルス感染により、大切なデータが盗まれる可能性は否定できません。さらに、故障や不具合でデータが消える恐れもあります。利用する際は情報漏えいのリスクを認識したうえで、バックアップをこまめにとるようにしましょう。
また、オープンソースツールの場合、スキルをもったエンジニアがいないと使いこなせません。突然提供が終了するケースや、サポート体制が不十分で運用負荷が大きくなることもあるので、導入前に十分注意しましょう。
まとめ
無料の在庫管理ツールやアプリには、機能や使い勝手に制限がある場合が多くあります。コストがかからない点は導入の大きな後押しになりますが、一番に考慮すべきは「このツールで自社の課題は解決できるのか」という点です。
有料の在庫管理システムは、在庫の登録や数の把握にとどまらず、適正量の管理・コントロール、在庫分析による需要の予測など機能も充実しています。まずは各社製品の資料請求をしてみて、無料製品と有料製品を比較することからはじめましょう。
在庫管理システムを無料で導入したい企業にとっては、まず無料ツールのメリット・デメリットを把握し、有料版との比較検討を行うことが、最適な選択につながる第一歩です。

在庫管理システムには、無料プランが提供されているものもありますが、通常は機能や利用制限があります。小規模な企業や簡易的に入出庫を把握したい企業には適しているかもしれませんが、その場合はエクセルでも在庫管理が十分可能です。エクセルの最大の弱点である入力ミスなどのヒューマンエラーは、ハンディターミナルやバーコードを使ってデータ入力のみ自動化することで、緩和できます。
有料プランには在庫の登録や数の把握にとどまらず、適正量の管理・コントロール、在庫分析による需要の予測など、充実した機能があります。規模が拡大し、これらのニーズが生じた場合には、有料製品の導入検討がおすすめです。