FAQシステムの費用構成の整理
追加費用を把握するには、まず費用がどのような区分で組み立てられているかを知っておく必要があります。区分ごとに確認すべき条件が異なるため、見積書を受け取る前に構成を押さえておきましょう。
費用の区分と確認の順序
FAQシステムの費用は、契約時に一度だけ発生するものと、毎月または毎年発生するもの、そして使い方によって変動するものに分けられます。この3つを混ぜたまま比較すると、金額の違いがどこから生じているのかが分からなくなります。
| 区分 | 内容の例 |
|---|---|
| 初期費用 | 契約時の設定作業やデータ移行、初期の研修などにかかる費用 |
| 基本利用料 | プランごとに定められた月額または年額の費用 |
| 変動費用 | FAQ件数や閲覧数、アカウント数など、使い方に応じて加算される費用 |
| オプション費用 | AI機能や外部システムとの連携など、追加で申し込む機能の費用 |
比較の際は、この区分ごとに金額を並べると差が見えやすくなります。表示されている価格がどの区分を指しているのか、資料の注記まで確認しておきましょう。特に初期費用は、契約時の一度きりの支払いであっても総額への影響が小さくないため、月額の金額とあわせて把握しておく必要があります。
見積書で確認したい記載事項
見積書を受け取ったら、金額だけでなく前提条件の記載を確認します。想定しているFAQ件数、アカウント数、閲覧数の上限が明記されているかが判断の材料になります。
前提条件が書かれていない場合は、どの範囲までがこの金額に含まれるのかを書面で確認しておきましょう。口頭の説明だけでは、後から解釈の違いが生じる可能性があります。契約期間、値上げの取り決め、更新時の条件についても、同じ書面で確認しておくことをおすすめします。
利用量に応じて変動する費用
FAQシステムでは、使い方によって金額が変わる料金体系が採用されている場合があります。導入時は少ない量でも、運用が進むにつれて費用が増える可能性があるため、変動の条件を先に確かめておきましょう。
FAQ件数による課金の仕組み
登録できるFAQの件数に上限が設けられ、上限を超えると上位のプランへの変更が必要になる料金体系があります。運用が進むほどFAQは増えていくため、導入時の件数だけで判断すると後から変更が必要になる場合があります。
確認しておきたいのは、件数の数え方です。公開中のFAQのみを数えるのか、下書きや非公開のものも含むのか、社内向けと社外向けを別に数えるのかは製品によって異なります。3年後に想定される件数を伝えたうえで、その規模での金額を提示してもらうと比較しやすくなります。
閲覧数やアクセス数による課金の仕組み
閲覧数や検索回数に応じて金額が変わる料金体系もあります。社外公開の場合はアクセス数を自社で制御できないため、想定を超えて費用が増える可能性がある点に注意が必要です。
キャンペーンや繁忙期に問い合わせが集中すると、その月だけアクセスが伸びることがあります。月ごとの変動を吸収できる仕組みがあるか、年間契約で平準化できるかを確認しておきましょう。過去の自社サイトのアクセス数をもとに、想定される幅を伝えて試算を依頼する方法も有効です。
上限を超えたときの扱い
上限を超えた場合の動作は製品によって異なります。自動的に上位プランへ切り替わる場合、超過分が従量で加算される場合、機能が一時的に制限される場合などが考えられます。
いずれの場合も、上限に近づいた時点で管理者へ通知される仕組みがあるかを確認しておくと、想定外の請求を避けやすくなります。あわせて、利用量を管理画面で確認できるか、いつの時点の数値が集計対象になるかも聞いておきましょう。通知の宛先を複数人に設定できると、担当者が不在の期間でも気付ける状態を保てます。上限に達した際の対応手順を社内で決めておくことも、慌てて上位プランへ切り替える事態を避ける助けになります。
オプションや追加ライセンスで生じる費用
基本の利用料に含まれない機能は、オプションとして別に費用が発生します。どこまでが標準機能なのかは製品ごとに線引きが異なるため、必要な機能ごとに区分を確認しておきましょう。
AI関連機能のオプション費用
AIによる自動回答や、質問文の意図をくみ取る検索の機能は、上位プランやオプションとして提供される場合があります。基本プランの金額が抑えられていても、AI機能を加えると総額が大きく変わる可能性があります。
AI機能の費用は、月額の固定額で設定される場合と、質問への応答回数に応じて加算される場合があります。応答回数で加算される場合は、想定される問い合わせ件数から試算しておきましょう。学習データの調整や辞書の整備を依頼する際に別途費用が発生するかも、あわせて確認しておくことをおすすめします。
連携やカスタマイズの費用
既存のシステムとの連携や、画面デザインの調整を希望する場合、設定作業に費用が発生することがあります。標準の設定で対応できる範囲と、個別の開発が必要な範囲では金額の差が大きくなります。
初回の作業費用だけでなく、その後の保守費用が発生するかも確認しておきましょう。連携先の製品が更新された際に修正が必要になる場合があり、その対応が有償かどうかで長期の負担が変わります。見積もりの段階で、想定される保守の範囲を書面で示してもらうと安心です。
アカウントや拠点の追加費用
ライセンスの数え方は製品によって異なり、管理画面を使う人数で数える場合と、閲覧する人数まで含めて数える場合があります。閲覧者を含む方式では、社内向けに全社展開したときの金額が想定より大きくなる可能性があります。
拠点やグループ会社を追加する場合の扱いも確認しておきたい項目です。1つの契約で複数の拠点を管理できるのか、拠点ごとに契約が必要なのかで総額は変わります。将来の展開予定を伝えたうえで、その場合の条件を提示してもらうとよいでしょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でFAQシステムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
契約期間と乗り換え時に関わる費用
費用は利用中だけでなく、契約を終える場面でも発生する可能性があります。最低契約期間や解約の条件は契約書に記載されるため、締結前に内容を確認しておきましょう。
最低契約期間と中途解約の条件
年間契約や複数年契約では、最低契約期間が設定される場合があります。期間内に解約すると、残りの期間分の費用や所定の金額を求められる契約になっていることがあります。
押さえておきたいのは、最低契約期間の長さ、期間内に解約する場合の取り決め、自動更新の有無と更新を止める場合の申し出期限です。申し出の期限を過ぎると次の期間へ自動的に更新される契約もあるため、社内の管理台帳に更新時期を記録しておくことをおすすめします。
乗り換え時に発生する作業と費用
他の製品へ移る場合、蓄積したFAQのデータを取り出す作業が必要です。データを出力できる形式や、出力に対応している項目の範囲は製品によって異なります。
出力作業をベンダーへ依頼する場合に費用が発生するか、契約終了後もデータを取り出せる期間があるかを、導入前の段階で確認しておきましょう。移行先での再登録作業にも工数がかかるため、乗り換えの可能性を含めて長期の負担を見ておくと判断しやすくなります。
3年間の総額を試算する手順
費用の比較は、初年度だけでなく複数年で見ると差がはっきりします。ここでは、3年間を目安に総額を試算する進め方を整理します。
試算に含める項目の整理
試算には、初期費用、基本利用料、変動費用、オプション費用、社内の担当者が費やす工数を含めます。工数は金額に表れませんが、運用の負担として比較の材料になります。
変動費用は、導入時、1年後、3年後の想定値をそれぞれ置いて計算しましょう。FAQ件数や利用人数が増える前提で試算しておくと、途中でプラン変更が必要になる時期も見えてきます。想定が難しい場合は、幅を持たせて上限と下限の両方を出しておく方法もあります。
製品間で条件をそろえる方法
複数の製品を比べる際は、同じ前提条件で見積もりを依頼することが大切です。FAQ件数、利用人数、想定アクセス数、必要な連携先を一覧にまとめ、各社へ同じ内容で提示しましょう。
条件をそろえると、プラン構成の違いによる金額差を把握しやすくなります。見積もりを受け取った後は、前提条件が正しく反映されているかを確認し、含まれていない作業がないかをあわせて質問しておくと、契約後の追加請求を避けやすくなります。
必要な範囲を選んで構成できるFAQシステム
費用は基本の機能とオプションの線引きによって変わります。標準で使える範囲と別途申し込む範囲を確認しやすいFAQシステムを紹介します。
Service Cloud
- 顧客理解に基づくカスタマーエクスペリエンス(CX)向上を実現
- あらゆるチャネルで「いつでも」「どこでも」顧客をサポート
- 信頼性の高いカスタマーサービス向け生成AIを組み込み
株式会社セールスフォース・ジャパンが提供する「Service Cloud」は、顧客との関係性を統合的に管理するカスタマーサービスプラットフォームです。問い合わせ管理や、Webサイトとメールからの問い合わせ情報の自動作成、フローやマクロによる業務の自動化、レポートとダッシュボードによる状況把握に対応します。ナレッジベースやWebチャット、カスタマーコミュニティはオプションとして提供されるため、必要な範囲を選んで構成できます。営業やマーケティングなど他部門との情報連携も想定されています。
i-ask
- CS向上!サポート業務のお悩みを解決するFAQ管理サービス i-ask
- ナレッジの蓄積で顧客満足度の向上
- お問い合わせ対応を効率化し、コスト削減に貢献
株式会社スカラコミュニケーションズが提供する「i-ask」は、顧客や社員、代理店からの問い合わせに対応するFAQシステムです。自然文検索エンジンと標準搭載の辞書による検索、絞り込みやサジェスト、閲覧数や評価のランキング表示を基本の機能として備えています。多言語対応や複数テンプレート、一般公開と会員向け公開を分ける公開先設定、生成AIとの連携はオプションとして用意されているため、必要な機能を選んで構成を組み立てられます。統計データの書き出しにも対応します。
ヘルプデスクの達人
- FAQに加え動画やマニュアルも問題解決ナレッジとして活用
- ナレッジ×AIで 問合せ対応の負荷を軽減
- 社内向けFAQの一部を簡単操作でWeb公開、お客様の自己解決を促進
アクセラテクノロジ株式会社が提供する「ヘルプデスクの達人」は、FAQやマニュアル、操作動画、過去の対応履歴を統合して扱うヘルプデスク向けのシステムです。キーワード検索に加え、顧客名や製品名、エラーコードといったタグから絞り込むドリルダウン検索を備えています。生成AIによる回答の作成支援やFAQの自動生成に対応し、ChatGPTはAPI経由で利用する構成です。社内向けに作成したFAQの一部をWebへ公開でき、社内利用と社外公開を使い分けられます。
Tayori (株式会社PRTIMES)
- プレスリリース配信のPR TIMESが開発。
- 大切な想いを届ける「お便り」がサービス名の由来。
- 紙飛行機で日本記録を達成するプロジェクトを実施。
AItoFAQ (メディアリンク株式会社)
- LLM・RAG技術の新世代型AIチャットボット
- 普段の言葉で検索可能
- 検索結果とAI回答生成機能を利用可能
まとめ
FAQシステムの追加コストは、利用量による変動、オプション機能、ライセンスの数え方、契約期間の条件という4つの箇所から生じる場合があります。月額の表示価格だけで判断せず、前提条件を明記した見積もりを同じ条件で複数社から取り寄せ、3年間の総額で比べることが大切です。まずは資料請求で料金体系を確かめ、比較検討を進めてみてください。


