ベテランの作業を動画に撮っておこう。そう考えて撮影を始めた現場は多いはずです。ところが、撮った動画は1本が長く、どこに大事なコツが映っているのか分かりません。結局、見返されないままフォルダにたまっていきます。
この記事では、製造業の組立・保全の現場を例に、necfru drive で作業動画を「場面ごとに区切られ、動きと解説が文字になった記録」に変えた活用イメージを紹介します。撮り方の工夫や、運用で気をつけたいことも合わせてまとめました。
この活用事例の場面
組立ラインや設備の保全、検査の現場には、手順書に書ききれない作業があります。
- 主軸の芯出しのように、手の感覚で微調整する作業
- 締め付けの順番や力の加減が、仕上がりを左右する作業
- 異音や振動で状態を見分けるような、確かめ方そのものがコツになっている作業
こうした作業を担うベテランが定年を迎える前に、若手が自分で見返せる形で残したい。今回の例は、そのための撮影と記録の流れです。
困りごと:ベテランの技が、本人の手の中にしかない

手順書だけでは、伝わらない
手順書には「ボルトを締める」と書いてあっても、締める順番、力の加減、締まったことの確かめ方までは書ききれません。書けないコツは、横について見て覚えるしかありませんでした。
教えられる人が、減っていく
教えられるベテランは数人で、定年も近づいています。日々の生産を止めずに、横について教える時間を取るのは簡単ではありません。
撮った動画が、見返されない
動画に撮っても、1本が30分、1時間と長くなります。若手は頭から再生して、どこを見ればよいのか迷います。ファイル名も撮影日のままで、どの作業の動画かも開くまで分かりません。
記録の方法を選ぶときの比べ方
技能を残す方法には、手順書を書き直す、動画を撮って共有フォルダに置く、動画マニュアルを作り込む、といった選択肢があります。比べるときは、次の点が判断の材料になります。
- 作る手間:編集やテロップ入れが必要か。撮って置くだけで使える形になるか
- 見返しやすさ:長い動画のどこに何が映っているかが、再生しなくても分かるか
- 言葉で探せるか:「芯出し」「締めすぎ」など、作業名やコツの言葉から該当の場面にたどり着けるか
- 資料をまとめて置けるか:動画と、手順書・メモ・写真を同じ場所で見られるか
- 見せる範囲を決められるか:工程ごと、協力会社ごとに、見られる人を分けられるか
動画マニュアルを作り込む方法は分かりやすい反面、作る人の負担が大きく、本数が増えません。今回の現場では「撮って入れるだけで、見返せる形になること」を優先しました。
解決の流れ:撮って入れるだけで、手順ごとの記録になる

- 話しながら撮る(人):作業を撮りながら、ベテランにコツを声に出して話してもらいます。
- 場面ごとに区切る(自動):動画を取り込むと、準備・測定・調整などの工程ごとに、自動で区切られます。
- 動きと解説を文字に(自動):話した解説だけでなく、話のない手元の動きも「誰が・何を・どうした」の形で、時刻付きの文字になります。
- メモと手順書も置く(人):コツを書いたメモや手書きメモの写真、手順書を、動画と同じフォルダに置きます。手順書のような長い資料は、ページごとの概要もまとまります。
- 若手が見返す(人):区切りと文字を見て、見たい手順の場面から再生します。
文字になった記録の例
- 0:00:15 作業者がダイヤルゲージを主軸に当てる
- 0:01:02 「ここは急がず、ゆっくり一周させる」
- 0:02:30 作業者が調整ボルトを少しずつ締める
- 0:02:41 「締めすぎると戻らないので、半分ずつ」
括弧のない行は手元の動き、括弧の行はベテランが話した解説です。若手は文字を読んで、確かめたい時刻の場面だけを再生できます。
撮るときの工夫
自動で文字にするからこそ、撮り方で記録の質が変わります。
- 作業の名前を最初に言ってもらう:「主軸の芯出しを始めます」と言ってから始めると、あとで探しやすくなります。
- コツは、その場で声に出してもらう:「ここで止める」「音が変わったら締め終わり」など、判断の理由を話してもらいます。
- 手元が映る位置で撮る:手元の動きを文字にするには、手と道具が映っていることが大切です。
- 1本を長くしすぎない:段取りや作業の区切りで撮影を分けると、見返しやすくなります。
こう変わる:横について教える代わりに、動画で見返す

- 教え方:横について見せる。教える人の時間が要る → 何度でも見返せる動画で
- 見返し方:頭から再生して、どこを見ればよいか迷う → 区切りと文字で、見たい手順とコツが先にわかる
- 残り方:本人の頭の中にあり、定年とともになくなる → 動画・解説・メモが、会社の記録として残る
導入するときの進め方
- 残す作業を選ぶ:定年が近い人の作業、事故や不良につながりやすい作業から優先します。
- フォルダの分け方を決める:工程ごと、設備ごとに分けると、見られる人の範囲も決めやすくなります。
- 1つの作業で試す:1人のベテラン、1つの作業で撮影し、若手に実際に見返してもらいます。
- タグを足す:自動で付いたタグに加えて、「締めすぎ注意」「新人向け」など、現場の言葉のタグを人が足します。
- 広げる:撮り方とフォルダの分け方が固まったら、ほかの作業にも広げます。
費用の考え方
動画を文字にしたり区切ったりする処理には、AIの利用量の単位(トークン)を使います。動画は1分ごとに1トークンで、基本料金には毎月1,000トークンが含まれています。たとえば20分の作業動画なら20トークンです。上限を超えた分は、1トークン5円(税別)です。
AIを使ってよい人や、利用の上限は、サイト全体のほか、ユーザーごとにも管理者が決められます。撮影の本数が増えても、使い過ぎを抑えながら進められます。
導入の前に知っておいていただきたいこと
- 自動の書き起こしは手がかりです:細かい動きや言い回しは、必ず映像で確かめてください。
- 文字起こしの精度は、音声の状態しだいです:機械の音が大きい場所では、話した解説が聞き取りにくくなることがあります。話す人の近くで音を拾えるよう工夫してください。
- 見られる人は、工程やフォルダごとに決めます:協力会社に見せる範囲を絞ることもできます。
こんな会社に向いています

- ベテランの定年が近く、教えられる人があと数年でいなくなる
- 手順書に書けないコツ(順番・力の加減・確かめ方)がある
- 作業を撮った動画がたまっているが、見返されていない
- コツのメモが、ノートや手書きのまま個人の手元に眠っている
設備の保全・検査・段取り替えの記録にも、同じ流れで使えます。
よくあるご質問
話していない場面も、文字になりますか?
なります。話のない手元の動きも、時刻付きの文章になります。
動画の区切りは、人が付ける必要がありますか?
ありません。作業の工程ごとに、自動で区切られます。
自動で付いたタグに、現場の言葉を足せますか?
足せます。タグや付帯情報は、人があとから登録・編集できます。
AIの学習に、自社の作業動画が使われることはありますか?
ありません。お客様のデータが、AIの学習に使われることはありません。
安心して使うための仕組み
- データとAIの処理は国内で行います(AWS 東京リージョン)。お客様の要件に合わせて、データを論理的に分けた環境、またはお客様専用の AWS アカウントで提供します。
- ユーザーやグループ、フォルダごとに見られる範囲を決められます。ログイン・ダウンロード・共有などの操作は記録に残ります。
- 通信は暗号化されています。運用と保守はネクフルが行います。
まとめ
技能継承のための動画が見返されないのは、長くて、どこに何が映っているか分からないからです。撮った動画を場面ごとに区切り、手元の動きと話した解説を時刻付きの文字にすれば、若手は見たい場面から確かめられます。選ぶときは、作る手間、見返しやすさ、言葉で探せるか、資料をまとめて置けるか、見せる範囲を決められるかを比べてみてください。
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