VDIのサイジングとは
VDIのサイジングの概要を見ていきましょう。
VDI運用に必要なリソースを見極めること
そもそもVDIとは、サーバ上に仮想PC環境を構築し、ユーザーがそこにアクセスすることでPCを使う技術です。ユーザーが使う各端末に必要なのはキーボードや画面だけであり、そのほかのリソースは必要ありません。
すべてサーバ側で用意されたものを使うことになります。逆に言えば、サーバ側にはVDI環境の運用に必要なすべてのリソースが求められるということです。
VDIのサイジングとは、そのリソースのサイズを調節することです。サーバ側にどのくらいのリソースが必要なのかを見極め、過不足のない状態に整えます。サイジングは、VDIのパフォーマンス低下や無駄なコストの発生を抑えるために欠かせません。
不適切だとパフォーマンスに影響する
充分なリソースがなければパフォーマンスに悪影響が及びます。操作の遅延やネットワークの不具合が発生し、業務に支障をきたすでしょう。しかし、適切なリソース規模はユーザーの利用状況によって異なります。たとえば、以下のような点を把握する必要があります。
- ■ユーザー数
- ■アプリケーション
- ■CPUやメモリの消費割合
- ■アプリケーションの利用頻度
- ■OSのバージョン
- ■周辺機器
現在の利用状況の監視が必要
適切なサイジングを行うためには、ユーザーの利用状況を詳細に把握しなければなりません。しかし、すべてのユーザーの利用状況を調査するのは困難です。サンプル調査のような簡易的なものでは正確に把握できません。そこで有効なのが、監視ツールの導入です。
ユーザーのPCに監視ツールをインストールすることで、PCのリソース利用状況を正確に把握できます。単なる負担量だけでなく、利用するアプリケーションや利用時刻などもわかります。それらのデータを基に、VDI環境でどのくらいのリソースが必要なのか算出しましょう。
この監視ツールが役立つのは導入時だけではありません。導入後も継続的に利用状況を把握することで、的確なリソース削減・追加が実現します。同じアプリでもアップデートなどにより必要リソースが増えることがありますが、そのような変化にも対応可能です。
VDIのサイジングを適切に行うための要点
上述したように、適切なサイジングにはユーザーの利用状況を把握することが欠かせません。その際は、特に以下の項目に注意しましょう。
- CPU
- VDIでは、サーバのCPUが論理的に分割されて、仮想PCに割り当てられます。一般的には、1コアを6~8台分の仮想PCに割り当てます。また、クロック数は1ユーザーあたり500MHz程度です。これを基準とし、利用状況を踏まえて調節しましょう。
- メモリ
- 1台の仮想PCに対して2~4GBが一般的です。サーバには、仮想PCの台数分に加え、物理サーバ本体に必要なメモリを搭載しましょう。
- ストレージ
- VDIにおけるストレージで注意すべきなのは、容量ではなくIO性能です。IOとはデータの読み書きのことで、この性能が高いほど円滑な読み書きが実現します。仮想PC1台あたり20~30IOPSが一般的ですが、これも利用状況に応じて調節しましょう。
動作が遅いときはVDIのサイジングを実施して解決しよう
VDIのサイジングとは、VDI環境を構築するうえで必要なリソースを見極めることです。不足しているとパフォーマンスに影響し、過剰だと無駄なコストが発生します。適切なサイジングには、ユーザーのPC利用状況を把握することが欠かせません。
メモリの消費割合や利用アプリケーションなどを正確に把握しましょう。その際には、監視ツールを導入すると便利です。以上を踏まえて、適切なサイジングを行いましょう。