需要予測の考え方と代表的なやり方
需要予測は、過去の売れ行きや市場の動きから、これからの数量を見積もる活動です。使うやり方によって、必要なデータや扱いやすさが変わります。まずは代表的な3つのやり方を整理しましょう。
| やり方 | 特徴 |
|---|---|
| 過去の売れ行きから読む | 過去の数字から傾向や季節の上下を読み取ります。表計算ソフトでも扱え、計算の理由を説明しやすい形です。 |
| 現場の見立てを集める | 商談の様子など数字にしにくい情報を反映できます。担当者ごとの見方の違いを調整する運用が必要です。 |
| コンピューターに学習させる | 複数の要素をまとめて扱えます。学習に使うデータの量と、結果を確かめる体制が求められます。 |
過去の売れ行きから傾向を読むやり方
過去の出荷数を日付の順に並べ、増えているのか減っているのか、季節で上下するのかを読み取るやり方です。直近の数か月の平均から次の月を見積もる方法や、新しい月ほど重く見て計算する方法があります。表計算ソフトでも扱えるため、最初の一歩として始めやすい形です。
一方で、これまでと似た動きが続くという前提に立っています。新商品や、これまでにない売り出し方をした場合は、参考にできる過去の数字がありません。夏や冬で売れ方が大きく変わる商品では、季節の上下を考えに入れた計算方法を選ぶ必要があります。
現場の見立てを集めるやり方
営業担当者やお店から「これくらい売れそう」という見込みを集め、それを足し上げて予測とするやり方です。取引先との商談の様子や、地域ごとの動きなど、数字には出にくい情報を反映できます。過去のデータが少ない新商品や、取引先が限られる事業では役に立つ方法です。
ただし、集めた見込みには、担当者ごとの見方の違いが混じります。目標を意識して高めに出ることも、慎重に低めに出ることもあります。過去の見込みと実際の結果のずれを記録しておき、集計するときに調整する運用と組み合わせると、精度を保ちやすくなります。
コンピューターに学習させるやり方
機械学習とは、たくさんのデータからコンピューターが規則性を見つけ出す技術です。過去の出荷数に加えて、価格、天気、曜日や祝日、売り出しの記録といった複数の要素をまとめて学習させ、予測の数字を計算します。人が計算式を組み立てにくい複雑な関係も扱える点が特徴です。
導入するには、学習に使えるデータがどれだけたまっているかが前提です。予測の数字がどう計算されたのかを人が追いにくい場合もあるため、結果をそのまま使わず、実際の数字と見比べて確かめる体制もあわせて整えましょう。
需要予測に取り組むメリット
予測の効果は、在庫を減らすことだけではありません。生産や人の配置の計画、部門どうしの話し合いにも関わります。3つの角度から利点を整理します。
在庫の持ちすぎと品切れを減らせる
在庫を多く持てば品切れは避けられますが、置いておく費用がかさみ、売れ残った分は捨てるか値下げすることになります。反対に在庫を絞りすぎると、注文に応えられず売る機会を失います。どちらに寄せても損が出る関係です。
予測の数字を発注や生産の目安に使えば、必要な量に近づける調整ができます。予測に少し余裕を足して発注のタイミングを決めれば、ずれが出たときにも対応できます。置いておく費用と、品切れによる損の両方を見ながら、余裕の幅を決めましょう。
生産や人の配置の計画を立てやすくなる
ものづくりの現場では、材料の仕入れや機械の動かし方を前もって決める必要があります。数か月先の見込みがあれば、仕入れの手配や生産の割り振りを計画的に進められます。急に増産することになって残業や外注が発生する事態を、減らせる場合もあります。
物流やお店の現場でも、忙しい時期の人の配置を考える材料になります。必要な人数を早めに見積もれれば、採用や応援の手配に時間を使えます。直前の調整に追われる場面を減らせる点は、現場の負担を軽くします。
部門どうしで同じ前提を持てる
営業、生産、仕入れ、経理の各部門は、それぞれ別の数字を見て動いていることがあります。前提がそろわないまま計画を立てると、作る量と売れる見込みが食い違い、在庫や品切れとして表に出ます。話し合うたびに議論が振り出しに戻ることもあります。
予測の数字を共通の出発点にすれば、話し合いの土台がそろいます。差が出たときも、どの前提が違っていたのかを具体的に確かめられます。数字をもとにした話し合いに移せる点は、部門をまたぐ計画づくりで効果が期待できます。
需要予測のデメリットと向き合うべき限界
予測は何でも解決する仕組みではありません。ずれが出ることを前提にしないと、かえって混乱を招く恐れがあります。ここでは3つの課題を取り上げます。
予測が外れる前提で備える必要がある
売れ行きは、競合の動きや天気、値段の変更、取引先の在庫の持ち方など、いろいろな理由で変わります。すべてを前もって計算に入れることはできないため、予測と実際の数字の間にはずれが出ます。やり方を高度にしても、ずれをなくすことはできません。
そのため、外れたときにどう動くかを決めておくことが重要です。多めに持っておく在庫の量、生産の計画を見直す間隔、仕入れ先に追加をお願いするときの手順を定めておきましょう。精度を上げる取り組みと、ずれを受け止める仕組みは、両方そろえて考える必要があります。
データを整えて保つ手間がかかる
予測のもとになるのは、過去の出荷や販売の記録です。商品の番号がそろっていない、返品や特売の分が分けられていないといった状態では、計算の結果が実際とずれます。まずデータを整える作業に時間がかかることもあります。
整える作業は一度では終わりません。商品が入れ替わったり取引先が変わったりするたびに、対応づけを直す作業が出てきます。誰がその作業を担当し、どのくらいの間隔で確認するのかを決めておかないと、途中から精度が落ちていきます。
予測の数字を信じすぎる恐れがある
システムが出した数字は、根拠があるように見えるため、そのまま計画に使われがちです。しかし、もとにしたデータが古い場合や、想定していない出来事が起きている場合、結果は実際とずれます。数字の背景を確かめないまま使うと、判断を誤る恐れがあります。
予測の数字は、判断の出発点として扱いましょう。現場がつかんでいる商談の様子や、市場の変化とあわせて確かめる場をつくることが重要です。数字と現場の情報の、どちらか一方だけに頼らない進め方が求められます。
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予測を業務に生かすための進め方
予測を出すこと自体が目的にならないよう、使い方と見直しの手順を先に決めましょう。ずれの測り方と、予測を扱う場のつくり方という2つの点から整理します。
ずれの測り方と見直す間隔を決める
予測の良し悪しを判断するには、ずれを数字で測る必要があります。予測と実際の差を、実際の数量で割った割合を出し、その平均を記録し続ける方法が使われます。商品のグループごとに記録しておくと、どの範囲で精度が落ちているかを絞り込めます。
測った結果は、やり方や設定を見直す材料に使います。あるグループでずれが大きいなら、季節の要素を計算に入れられていないのか、データの分け方に問題があるのかを確かめます。見直す間隔を毎月や3か月ごとと決めておけば、記録が使われないまま残る状態を防げます。
予測を扱う会議と決め方を整える
予測の数字をもとに、作る量や注文する量を最終的に誰が決めるのかをはっきりさせましょう。営業、生産、仕入れの担当者が定期的に集まり、予測と現場の情報を突き合わせて計画を確定する形が採られる例があります。決めた内容と、その理由を記録に残すことも重要です。
記録が残っていれば、後から結果を振り返るときに、予測のずれによるものか、判断によるものかを分けて考えられます。特定の担当者だけが経緯を知っている状態を避け、複数人で共有できる体制にしておくと、長く続けられます。
需要の見通しを立てる予測システム
過去の実績をもとに見通しを立て、在庫や生産の計画へ反映することを想定したシステムを紹介します。
AI需要予測・運用サービス「Deep Predictor(ディープ・プレディクター)」
- 予測から発注量算出などのアクションまで自動化
- 数十万SKU・外部データに対応した高精度な需要予測
- データ処理から基幹システム連携まで自動化
AI CROSS株式会社が提供する、AI需要予測・運用サービス「Deep Predictor(ディープ・プレディクター)」は、蓄積された実績データをもとに需要の見通しを算出するサービスです。予測の仕組みを自社で構築せずに利用でき、運用の段階まで支援を受けられる構成になっています。扱えるデータの形式や必要な期間は業務によって変わるため、手元の実績を伝えたうえで相談するとよいでしょう。
PlanNEL
- 販売実績を元に複数AIモデルで需要を予測し、精度の高い計画立案
- 予測精度を定量評価し、採用すべきモデルと改善ポイントを確認
- 外れ値などの影響を補正した学習データで、予測精度を高める
ザイオネックス株式会社が提供する「PlanNEL」は、需要の予測から在庫や供給の計画までを扱う供給連鎖管理のシステムです。予測した数値を生産や調達の計画へつなげられるため、見通しを立てるだけで終わらせず業務へ反映しやすくなります。複数の拠点や品目を対象とする運用にも対応します。導入の範囲は自社の業務の流れを踏まえて検討しましょう。
LTV-Zaiko
- ZPM分析で在庫の状態を可視化
- AIによる需要予測で欠品と過剰在庫を同時に防ぐ
- 発注・値引・店舗間移動の提案
株式会社LTV-Xが提供する「LTV-Zaiko」は、需要の見通しと在庫の管理を結び付けて扱うサービスです。実績にもとづく予測を用いて、発注の量や時期を検討する材料を得られます。欠品と過剰在庫のどちらも避けたい場面での活用が想定されます。対象とする品目数や取り扱う商材によって適する設定が変わるため、事前に確認しておきましょう。
Forecast Pro (株式会社日立ソリューションズ東日本)
- 実績から最適な予測モデルを自動選択
- 統計・機械学習モデルで多様なデータに対応
- 予測プロセスの可視化で業務標準化を推進
Perswell (株式会社DATAFLUCT)
- データサイエンティストなしで機械学習モデルを活用可能。
- 外部データを取り込み、商品別の予測モデルで精度を向上。
- API連携で発注数や在庫量を自動算出し、最適な発注を実現。
需要予測に関するよくある質問
需要予測の進め方についてよく寄せられる疑問をまとめました。社内での検討にお役立てください。
- Q1: 予測にはどのくらいの期間のデータが必要ですか?
- 季節による上下を扱うなら、数年分の記録があると動きをつかみやすくなります。データが少ない段階では、現場の見立てを組み合わせる方法から始めることも考えられます。必要な期間はやり方によって変わるため、製品ごとに確認しましょう。
- Q2: 表計算ソフトでの予測とシステムはどう違いますか?
- 表計算ソフトは費用をかけずに始められる一方、商品の数が増えるとファイルの管理や計算の更新に手間がかかります。システムでは、複数の要素を使った計算や、記録の自動での取り込みができる製品があります。商品数と更新の回数を見て検討しましょう。
- Q3: 新商品の売れ行きはどう見積もりますか?
- 過去の記録がないため、似ている既存商品の売れ始め方を参考にする方法や、営業からの見込みを足し上げる方法が採られます。発売した後は、記録が集まり次第、短い間隔で見直すことが重要です。最初の見積もりに幅を持たせておく方法もあります。
- Q4: 予測の精度はどこまで高められますか?
- 扱う商品や市場の変わりやすさによって、到達できる水準は違います。一律の目安を決めるのではなく、今のずれの大きさを測り、そこからどれだけ改善したかで評価する進め方が現実的です。ずれを受け止める在庫の持ち方も、あわせて考えましょう。
まとめ
需要予測には、在庫の持ちすぎと品切れを減らせること、生産や人の配置の計画を立てやすくなること、部門どうしで同じ前提を持てることという良い点があります。一方で、ずれが避けられない点や、データを整える手間、予測の数字を信じすぎる恐れという課題も伴います。まずは自社の記録の状態を確かめ、ずれの測り方と見直しの手順を決めるところから始めましょう。製品を比べたい方は、資料請求を活用してみてください。


