株式会社四電工は、四国電力グループを主要顧客とする設備工事業を中核に、配電工事・送電土木工事・電気計装工事・空調管工事・情報通信工事を手がける四国地盤の総合設備工事会社です。リース事業や太陽光発電事業も展開し、子会社26社・関連会社8社でグループを構成しています。2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)の連結業績は、売上高240億89百万円(前年同期比+18.9%)、営業利益28億15百万円(同+92.5%)、経常利益29億28百万円(同+90.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益19億59百万円(同+86.4%)と、大幅な増収増益で新年度をスタートしました。
詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
株式会社四電工(証券コード:1939)の決算解説
本記事では、今期スタートを取り巻く市場環境、業績の推移、増益の背景にある工事進捗と原価管理、そして通期予想達成に向けた課題を整理します。
1. 今期スタートを取り巻く市場環境
当第1四半期における日本経済は、個人消費や雇用情勢の緩やかな持ち直しが続き、企業業績も回復傾向にありましたが、物価上昇や中東情勢の混乱による影響も見られました。四電工の地盤である四国経済についても、程度差はあるものの概ね同様の傾向で推移したとみられます。
建設業界においては、資機材価格の上昇や人手不足といった供給制約が引き続き懸念材料となっているものの、都市部を中心に受注環境は良好な状況が続きました。設備工事業界全体でも、電力インフラの更新需要や再生可能エネルギー関連投資が下支えとなっており、四電工にとっては受注機会の拡大につながる環境にあると考えられます。
こうした市場環境のもと、同社グループは工程・原価管理の徹底を通じて、高水準の手持ち工事の着実な進捗と収益性の向上に努めた結果、増収・増益を達成しました。受注高は336億73百万円(前年同期比+10.6%)と伸長しており、次四半期以降の業績を支える基盤も積み上がっています。
2. 業績推移
当第1四半期連結累計期間の売上高は240億89百万円(前年同期比+18.9%)となりました。完成工事高が22,786百万円(前年同期は18,976百万円)と大きく伸び、電気・計装工事や配電工事、送電・土木工事など主要工種で軒並み増収となったことが押し上げ要因です。
利益面では、営業利益28億15百万円(前年同期比+92.5%)、経常利益29億28百万円(同+90.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益19億59百万円(同+86.4%)と、いずれも大幅な増益を確保しました。高水準の手持ち工事の進捗に加え、工事原価の徹底管理により採算性が改善したことが利益を押し上げています。
通期の業績予想については、売上高1,080億円、営業利益94億円、経常利益99億円、純利益66億円としており、2026年4月30日公表値から変更はありません。第1四半期時点での進捗は順調と見られますが、四半期の進捗率は工事の季節性が大きいため、単純な按分では評価しにくい点に留意が必要です。
3. 直近決算の重要ポイント
今回の決算で特に注目されるのは、営業利益・経常利益・純利益のいずれも90%前後の大幅増益となった点です。売上高の伸び(+18.9%)を大きく上回るペースで利益が拡大しており、工事採算の改善が明確に数字へ表れています。前年同期に大型工事の反動が響いていた反動もあり、今期は高水準の手持ち工事が着実に進捗したことが増益の主因と見られます。
セグメント別では、主力の設備工事業が売上高938億60百万円、営業利益73億11百万円(前年比+6.7%)を計上し、グループ収益の中核として機能しています。太陽光発電事業も営業利益9億38百万円(同+17.3%)と伸長し、複数事業でバランス良く利益を積み上げている点も評価できます。
財政状態については、総資産が970億39百万円となり、前連結会計年度末から68億31百万円減少しました。現金預金や電子記録債権は増加した一方、受取手形・完成工事未収入金等や関係会社預け金の減少が影響しています。自己資本比率は72.7%と高水準を維持しており、財務基盤の健全性は保たれています。
4. 今期の重点領域と収益構造
四電工の収益構造は、設備工事業が売上高の9割超を占める一方、リース事業や太陽光発電事業が安定的な利益を積み上げる補完的な役割を担っています。設備工事業の内訳を見ると、配電工事・電気計装工事・空調管工事が主力であり、四国電力グループ向け工事が受注の約半分を占めるなど、地域電力インフラとの結びつきの強さが同社の事業基盤の特徴です。
今期については、営業・工事・原価管理の連携強化を前提とした戦略的な受注判断を通じて、受注高・採算性の向上に努める方針が示されています。資機材価格の上昇や人手不足、中東情勢の混乱長期化による資源供給リスクといった懸念材料に対しては、サプライチェーン全体を通じた原価管理の徹底で対応する構えです。
繰越工事高は660億43百万円(前年同期末比+13.8%)に積み上がっており、とりわけ送電・土木工事や配電工事で高い伸びを示しています。この手持ち工事の厚みが、今後数四半期の業績を下支えする材料になると考えられます。
5. 業界の注目ポイント
ポイント1:都市部中心に良好な受注環境が継続
建設業界では資機材価格の上昇や人手不足という供給制約が続く一方、都市部を中心とした受注環境の良好さが四電工の増収を支えています。四国電力グループ向けを軸としつつ、官公庁・一般民間向けの受注バランスをどう維持していくかが今後の焦点になりそうです。
ポイント2:工程・原価管理の徹底による採算性改善
売上高の伸び以上に利益が拡大した背景には、工程・原価管理の徹底による採算性の改善があります。資機材価格の上昇が続く環境下でこの管理体制をどこまで維持できるかが、通期の増益基調を左右する重要な要素と見られます。
ポイント3:繰越工事高の積み上がりが示す先行き
繰越工事高が前年同期末比+13.8%と伸びていることは、次四半期以降の業績を占ううえで重要な指標です。特に電気・計装工事が繰越工事全体の57.0%を占めており、この分野の進捗管理が今後の収益性を左右すると考えられます。
6. ITトレンド編集部の考察
2027年3月期第1四半期を一言で表すと「増収を大きく上回るペースで利益が拡大し、通期予想達成に向けて好スタートを切った四半期」です。営業利益・経常利益・純利益がいずれも前年同期比90%前後の増益となったことは、単なる工事量の増加だけでなく、原価管理体制の実効性を裏付ける結果と言えるでしょう。
一方で、通期の業績予想は据え置かれており、会社側は第1四半期の好調をあくまで通過点と捉えている様子がうかがえます。資機材価格の上昇や人手不足、中東情勢の混乱長期化による資源供給リスクといった懸念材料は依然として残っており、これらがどの程度利益率に影響するかは今後の四半期で見極める必要があります。
今後は、繰越工事高の着実な消化と、受注高・採算性の向上を両立できるかが、通期予想(営業利益94億円)達成の鍵を握るとみられます。四国電力グループとの安定した取引関係を軸にしつつ、官公庁・一般民間向け受注の拡大余地をどう取り込んでいくかにも注目です。
7. まとめ
株式会社四電工を一言で表すと、「原価管理の徹底で採算性を改善し、大幅増益で新年度を好スタートさせた設備工事会社」です。
2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)の業績は以下のとおりでした。
- 売上高 240億89百万円(前年同期比+18.9%)
- 営業利益 28億15百万円(同+92.5%)
- 経常利益 29億28百万円(同+90.3%)
- 親会社株主に帰属する四半期純利益 19億59百万円(同+86.4%)
受注高は336億73百万円(同+10.6%)、繰越工事高は660億43百万円(前年同期末比+13.8%)と、いずれも積み上がっています。
通期(2027年3月期)の業績予想は、売上高1,080億円、営業利益94億円、経常利益99億円、純利益66億円で据え置かれています。手持ち工事の着実な進捗と原価管理の徹底を継続できるかが、通期業績を占ううえでの焦点となりそうです。
ITトレンド編集部
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