VOCツール導入前によく見られる課題
製品やサービスの付加価値を上げるために欠かせない顧客の声を集約し、分析するツールをVOCシステムといいます。このシステムを導入していない企業では、以下のような課題を抱えているケースが多くあります。
- ●コストをかけて行ったアンケートを定量分析にしか使っていない
- ●膨大なコールログがあるのに、トピックだけしか報告されない
- ●さまざまな部署に情報が散らばっていて全社的な把握が困難
- ●誰がどのような対応をしているのかが見えてこない
企業が成長していくためには、顧客の声をいかに改善や企画に生かすのかが重要となります。これらの課題を改善するために、VOCシステムがどう役立つのかを見ていきましょう。
VOC(顧客の声)システムの導入メリット
ここでは、VOC(顧客の声)システムの導入によって得られるメリットを詳しく解説します。
アンケート結果はフリースペースまでしっかり読み込める
フリー記入された文字データは、テキストマイニング技術でデータ化されます。この技術の進歩は著しく、使用された単語をただ抽出するのではなく、その単語を使った意図まで読み込むことが可能となっています。そのため、「何についてどんな要望を持っているのか」、また「どのような不満を持っているのか」などを深く知ることができます。この具体的な声を拾い上げてこそ、アンケート実施の意義があるというものです。
また、これまではデータ化する機会がなかったメールやSNS上にある不特定多数の声も分析対象とすることができます。より広い分野からの声を集めることで、これまで取りこぼしていた人を新たな顧客にすることも可能になります。
コールログもすべてデータ化し、分析できる
これまで音声のままでしか保管していなかったデータを自動でテキスト化し、必要に応じて分析ができる状態で保管することが可能になります。
音声データは、文字で寄せられる顧客の声以上に多くの情報が含まれるため、これを分析することで、顧客の要望をきめ細かく把握することにつながります。これをサービス改善に役立てれば、顧客ロイヤリティの向上が可能になります。
導顧客の声を全社で使える有益な情報として集約できる
VOCシステムを導入することで、各部署に散らばっている顧客の声を一括で管理できるようになります。このことにより、所属部署に関係なく、必要なデータをいつでも抽出し、改善や新しい企画の立案に役立てることができるようになります。
また部署ごとに行う調査には、それぞれの目的や着眼点があり、顧客への問いかけに違いが出るため、得られる結果に差異が生じることがあります。これを複合的に分析することで、これまで固定的になりがちだった着眼点を柔軟にし、違った角度からのアプローチにつなげることが可能となり、新たな取り組みにつなげることができます。
クレーム対応はタイムリーに可視化し、危機回避できる
VOCシステムを導入することで、顧客に行っている個別対応を全社的に、タイムリーに共有することが可能となります。
SNSの普及により、ひとつの対応のミスが大きな企業ダメージにつながることも多くなった昨今では、タイムリーな情報の共有がクレーム発生時の防波堤となります。関連部署がいつでも簡便に状況を把握し、知恵を出し合うことで対応にも多様性がうまれ、イメージダウンを防ぐだけでなく、クレームを顧客作りにつなげることさえ可能になります。
VOCシステムの活用をさらに広げるには
VOCシステムを導入すれば、実際の顧客の声を多角的に分析し、施策に活かすことができます。ただし、商品開発の初期段階などでは、まだ十分な顧客データが集まっていないケースもあるでしょう。そうした場面では、想定される顧客像(ペルソナ)にもとづいて仮の声を立て、ニーズや課題をシミュレーションする「仮想VOC」の活用が効果的です。初期段階からユーザー視点の課題を想定できるため、的外れな企画や改善を防ぎ、開発の方向性をスムーズに定められます。
まとめ
これまで顧客の声のデータ化に重要性を感じながら、なかなか踏み切ることができなかった理由は、その労力やコストの問題にあるという企業も多いことでしょう。
技術革新が進んだ今、VOCシステムを導入しさえすれば、顧客の声は瞬時にデータ化され、有益な情報に変えることができます。より多くの顧客の声を拾い上げることで、ニーズに即した対応が可能となり、顧客ロイヤリティの向上にも役立ちます。VOCシステムの導入は、これからの企業の成長に欠かせないシステムです。できるだけ早い時期に、導入を検討することをお勧めします。