SCM（サプライチェーンマネジメント）で直面しやすい課題
サプライチェーンには自社のみならず他社の介在するプロセスも存在し、日々大量の情報が取り扱われます。そのためSCMを行う上では、下記のような課題に直面することも珍しくありません。
- ●他社も含めサプライチェーンにかかわる情報を一元管理することで、サプライチェーン全体の質を向上させたい
- ●過剰在庫を削減や安定在庫を確保といった在庫管理にかかわる業務負担を少しでも軽減したい
- ●蓄積した情報をもとに、サプライチェーンに関する分析を行いたい
- ●陳腐化のサイクルが早まり、ECサイトのユーザーも多くなった今日の事業環境に対応するため、需要変動への対応速度を向上させたい
- ●人的リソースをSCMに関連する定常業務ではなく、より重要度の高い業務に割り当てたい
SCMを改善するために必要な取り組み
SCM（サプライチェーンマネジメント）を改善するには、業務全体を見直し、関係部門や外部パートナーを巻き込んだうえで、継続的な改善体制を構築する必要があります。具体的には以下のような取り組みが重要です。
- ■業務プロセスの可視化と課題抽出
- 調達から販売までの業務フローを明確にし、無駄や属人化が発生している部分を洗い出します。
- ■KPIの設定とモニタリング
- 在庫回転率や納期遵守率などの指標を設定し、定期的に分析・評価して改善に活用します。
- ■部門間・企業間の情報共有体制づくり
- 調達・製造・物流・販売の各部門や外部パートナー間で、情報をリアルタイムに共有できる体制を構築します。
- ■改善サイクル（PDCA）の継続実施
- 施策の立案から評価・改善までのサイクルを定着させ、継続的な最適化を図ります。
- ■ITツールの活用
- SCMシステムやERP、需要予測ツールなどを導入し、業務の効率化と意思決定の迅速化を支援します。
SCMシステムの導入メリット
上記のような改善取り組みを支えるうえで、近年注目されているのがSCMシステムの導入です。情報の一元管理や分析の自動化、部門間の連携強化など、SCMシステムには多くの利点があります。ここでは、その代表的なメリットを紹介します。
SCM全体の情報を一元管理できる
SCMシステムでは、調達・生産・物流・販売というサプライチェーン全体の情報を集約し一元管理することができます。また情報は原則として、システム上で自動的に収集・蓄積されていきます。そのため、情報の整理や分類といった業務コストを軽減できます。
在庫の最適化をシステム上で自動化できる
サプライチェーンを適切に管理することは、在庫の最適化につながります。とはいえ、需要変動の激しい現代社会において最適な在庫を維持し続けることは簡単ではありません。
しかし多くのSCMシステムでは販売数量をリアルタイムで把握し、システム上で自動的に在庫数量を調整できます。そのため常に最適な在庫数を維持できます。
詳細な分析データを入手できる
SCMシステムには、サプライチェーンに関する情報を蓄積するだけではなく集めた情報を分析する機能も備えているものもあります。そのため専門的な知識を持たずとも、現在のサプライチェーンの概況や改善すべき点を容易に把握することができます。
需要変動への対応スピードを向上させられる
優れた分析機能を持ったSCMシステムを活用すれば、将来的な需要の変動を踏まえた上でのサプライチェーンを構築することができます。したがって、激しい需要変動の渦中にあっても常に適切なSCMを実行することが可能です。また、今現在のサプライチェーンに関する分析データを今後に向けた改善検討の材料として活用することもできます。
マンパワーをSCMの改善に専念させられる
SCMシステムを活用すれば、サプライチェーンの管理にかかわる定常業務の多くを自動化できます。そのため自社の人的リソースを、サプライチェーンの改善検討やサプライチェーンにかかわる他社との折衝といった重要業務に専念させることができます。
まとめ
最近では、システム上で自動的に最適なサプライチェーンを構築する機能を備えたSCMシステムも登場しています。またサプライチェーンのスケジューリング機能の正確性向上もめざましく、全体最適を考慮した柔軟な計画を立案できるようになりました。
このようにSCMシステムは、今なお進化を続けています。そしてシステムの進化とともに、SCMシステムにより解決できる課題もより多くなっているのです。
