パナソニック コネクトは、設計・開発部門における図面/設計仕様の照合業務を高度化するため、「ConnectAI」の業務AIとして「Manufacturing AIエージェント」の社内展開を発表しました。
製造業の設計・開発では、品質担保のために「照合」という作業が欠かせません。一方で、照合対象がPDF図面や仕様書などの非構造化データに偏るほど、属人的な目視確認が残りやすく、手戻りが起きたときのコストも大きくなりがちです。今回の発表は、非構造化データを対象にした照合作業を、データ基盤とAIで標準化していく取り組みとして位置づけられます。
目視の照合は工数が大きく、手戻りリスクも抱えやすい
発表では、製品図面、部品図面、技術仕様書など複数ドキュメント間の整合確認は製品品質を担保する上で不可欠だとしています。
しかし従来は、担当者の手作業と目視確認に依存し、膨大な工数がかかるだけでなく、確認漏れといった人為的ミスが発生するリスクを常に抱えていたと整理しています。
PDF図面など非構造化データが自動化の障壁になりやすい
照合対象がPDF形式の図面など、AIでの自動化が難しい非構造化データであることが、既存ソリューションでは解決できない壁になっていたと述べています。
この手の作業は、形式は「確認」でも、実態としては情報抽出、比較、差分の判断を繰り返すため、ミスが出ると後工程へ波及しやすいのが特徴です。
Snowflake上でCortex AIを活用し、照合を支援するAIアプリを内製
同社は、Snowflakeのデータクラウドプラットフォーム上で、照合業務を支援するAIアプリケーション「Manufacturing AIエージェント」を内製開発したとしています。
複数のPDF図面からテキスト情報を自動で抽出し、製品図面と部品図面、または技術仕様書の間で、材質や仕上げなどの項目を自動で照合し、結果を一覧で表示する仕組みです。
工数削減に加え、作業の標準化と品質の平準化も狙う
発表では、従来は目視確認で50分から340分かかっていた照合業務を10分に短縮し、80%から97%削減できるとしています。
また、作業の標準化により担当者による品質のばらつきも抑制する狙いが示されています。
導入・運用の観点で意識しておきたい点
照合業務のAI化は、次の設計が重要になります。
- AIが抽出したテキストの誤読や欠落をどう検知するか
- どの範囲を自動判定し、どこを人の最終確認に残すか
- 差分が出たときの扱い(修正ルート、例外処理、監査性)
特に品質に直結する領域では、工数削減と同時に「説明可能性」「証跡」「再現性」をどう担保するかが、横展開の鍵になりそうです。
まとめ
パナソニック コネクトの取り組みは、PDF図面という非構造化データを対象に、照合業務をAIで支援して工数削減と手戻りリスク低減を狙う事例です。今後、設計・開発領域でも、定型的な確認作業をAIで標準化し、品質と速度を両立させる動きが広がっていく可能性があります。

