ハードディスク暗号化ソフトとは
ハードディスク暗号化ソフトとは、パソコンやサーバに保存されたデータを第三者に読み取られないよう、ハードディスク全体または特定領域を暗号化するソフトウェアです。端末の盗難や紛失、不正アクセスによる情報漏えい対策として導入されます。
暗号化されたデータは、正しい認証情報を入力しなければ復号できません。そのため、物理的にハードディスクを取り外された場合でも、内容を閲覧されるリスクを大幅に軽減できます。
ハードディスク暗号化ソフトの種類
ハードディスク暗号化ソフトには、大きく分けて「ソフトウェア暗号化」と「ハードウェア暗号化」の2種類があります。
| 種類 | 特徴 | おすすめのケース |
|---|---|---|
| ソフトウェア暗号化 | OS標準機能や専用ソフトを使って暗号化します。導入コストを抑えやすい一方、CPUに負荷がかかる場合があります。 | 低コストで端末やドライブを暗号化したい場合 |
| ハードウェア暗号化 | HDDやSSDに内蔵された暗号化チップで暗号化します。処理をハードウェア側で行うため、パフォーマンスへの影響が少ない点が特徴です。 | 処理速度や安定性を重視したい場合 |
ソフトウェア暗号化
OS標準機能や専用ソフトウェアを用いて暗号化する方式です。代表的な例として、「WindowsのBitLocker」や「macOSのFileVault」があります。ファイル単位・ドライブ単位・ディスク全体など、暗号化範囲を選択できる製品もあります。
ソフトウェアで暗号化処理を行うため、CPU負荷がかかる場合がありますが、導入コストを抑えやすいのが特徴です。
ハードウェア暗号化
ハードディスクやSSDに内蔵された暗号化チップ(AES256bitなど)で暗号化を行う方式です。暗号化処理をハードウェア側で実行するため、パフォーマンスへの影響が少ない点が特徴です。
外付けHDDや企業向けストレージ製品などで採用されています。
ハードディスク暗号化ソフトが必要な企業とは
ハードディスク暗号化ソフトは、PCやハードディスクに保存されたデータを暗号化し、端末の紛失・盗難時などに第三者が情報を読み取るリスクを低減するためのツールです。
特に、社外でPCを利用する機会が多い企業や、個人情報・機密情報を扱う企業では、端末そのものへのセキュリティ対策が欠かせません。ここでは、ハードディスク暗号化ソフトの導入を検討したい企業の特徴を紹介します。
ノートPCを社外へ持ち出す企業
営業活動やテレワークなどでノートPCを社外へ持ち出す場合、紛失や盗難による情報漏えいリスクがあります。
ログインパスワードを設定していても、ハードディスクを取り出して別の端末に接続されるなどすると、保存データを読み取られる可能性があります。ハードディスク全体を暗号化しておけば、端末を第三者に取得された場合でも、データの不正閲覧リスクを抑えられます。
テレワークや出張、外出先でのPC利用が多い企業では、端末管理とあわせて暗号化対策を検討しましょう。
個人情報や機密情報を取り扱う企業
顧客情報や従業員情報、設計データ、研究開発情報、営業資料など、社外に流出すると大きな影響が生じる情報をPCに保存している企業にも、ハードディスク暗号化が適しています。
ウイルス対策ソフトやアクセス制御だけでは、PCそのものを紛失した場合の対策として十分でないケースがあります。ハードディスク暗号化を組み合わせることで、端末内部のデータを保護し、多層的なセキュリティ対策につなげられます。
多数のPCを管理している企業
数十台、数百台といった多数のPCを管理する企業では、端末ごとに暗号化設定を行うだけでなく、「どのPCが暗号化されているのか」を管理者側で把握できる仕組みも重要です。
法人向けのハードディスク暗号化ソフトには、暗号化状況の一元管理やセキュリティポリシーの適用、復旧キーの管理などに対応した製品があります。特に従業員数や拠点数が多い企業では、暗号化機能だけでなく管理機能にも注目して比較するとよいでしょう。
情報漏えい対策を強化したい企業
情報漏えいは、サイバー攻撃だけでなく、PCやUSBメモリなどの紛失・盗難によって発生することもあります。
ハードディスク暗号化ソフトを導入すれば、端末が第三者の手に渡った場合でも、保存された情報を簡単に閲覧できない状態にできます。既存のウイルス対策やEDR、資産管理などに加えて端末内のデータ保護も強化したい場合は、ハードディスク暗号化ソフトの導入を検討しましょう。
自社に必要な機能がわからない場合は、複数のハードディスク暗号化ソフトを比較し、暗号化範囲や管理機能、対応OSなどを確認するのがおすすめです。
BitLockerとハードディスク暗号化ソフトの違い
Windowsには、ドライブを暗号化する機能として「BitLocker」が用意されています。そのため、「BitLockerがあれば、有料のハードディスク暗号化ソフトは不要なのでは」と考える方もいるでしょう。
BitLockerでもPC内のデータを暗号化できますが、企業で多数の端末を管理する場合には、専用のハードディスク暗号化ソフトのほうが運用しやすいケースがあります。
BitLockerとは
BitLockerは、Windowsに搭載されているドライブ暗号化機能です。ドライブ全体を暗号化することで、PCの紛失や盗難が発生した場合でも、第三者によるデータの読み取りを防ぎやすくなります。
追加の暗号化ソフトを導入せず利用できる点はメリットですが、利用できるWindowsのエディションや管理方法などは、事前に確認する必要があります。
少数のPCを個別に管理する場合など、シンプルな暗号化を目的とするのであれば、BitLockerで対応できるケースもあります。
法人向けハードディスク暗号化ソフトとの違い
法人向けハードディスク暗号化ソフトには、暗号化そのものに加えて、複数端末を効率よく管理するための機能が搭載されています。例えば、以下のような機能です。
- ●端末ごとの暗号化状況を一元管理する
- ●暗号化ポリシーを複数のPCへ適用する
- ●管理者が復旧キーを管理する
- ●端末や外部デバイスごとに暗号化を制御する
- ●Windows以外のOSを含めて管理する
- ●ほかのセキュリティ機能と組み合わせて利用する
社内で管理する端末数が多くなるほど、暗号化そのものより「運用管理のしやすさ」が重要になります。
BitLockerで十分な企業・専用ソフトがおすすめの企業
BitLockerと専用のハードディスク暗号化ソフトのどちらが適しているかは、管理する端末数や求めるセキュリティレベルによって異なります。
| 比較項目 | BitLockerが適しているケース | 専用ソフトが適しているケース |
|---|---|---|
| 管理端末数 | 少数のPCを管理 | 多数のPCを管理 |
| 主な目的 | PC単体を暗号化したい | 全社的に暗号化を管理したい |
| 管理方法 | 個別管理でも問題ない | 管理者が一元管理したい |
| OS | Windows中心 | 複数OS・デバイスを管理したい |
| 復旧対応 | シンプルな運用でよい | 管理者による復旧管理が必要 |
| セキュリティ運用 | 暗号化を中心に対策 | ほかのセキュリティ対策とあわせて管理 |
「端末を暗号化できれば十分」という場合はBitLockerも選択肢になります。一方、複数のPCを統一したポリシーで管理したい企業や、端末ごとの暗号化状況を把握したい企業には、法人向けのハードディスク暗号化ソフトが適しています。製品によって対応OSや管理機能、暗号化できる範囲は異なるため、導入前に複数製品を比較しましょう。
BitLockerだけで十分か、専用ソフトを導入すべきか迷っている方は、法人向け製品の資料を比較してみましょう。
複数製品の資料をまとめて確認すれば、一元管理機能や対応OS、暗号化範囲など、自社に必要な機能を効率よく比較できます。
ハードディスク暗号化ソフトのおすすめ製品を比較
ここからは、ITトレンド編集部おすすめのハードディスク暗号化ソフトを紹介します。
| 製品名 | 全体満足度 | 使いやすさ | 価格 |
|---|---|---|---|
| ESET PROTECT MDR | 4.0 | 4.2 | お問い合わせください |
| Check Point Full Disk Encryption | 3.5(2件) | 4.0 | お問い合わせください |
| McAfee Drive Encryption | 3.9(8件) | 3.6 | お問い合わせください |
| SecureDoc | ー | ー | お問い合わせください |
※レビュー評価は2026年2月2日時点における実数を表示しています。"ー"表記はまだレビュー投稿がありません。
ESET PROTECT MDR
- 業界最速のMDRレスポンス ※ESET社調べ
- エンドポイントのセキュリティ対策をひとまとめで任せられる
- 24×365でキヤノンMJグループが日本語対応!安心して任せられる
キャノンマーケティングジャパン株式会社が提供する「ESET PROTECT MDR」は、企業・組織のPC・サーバを24時間365日監視するセキュリティサービスです。フルディスク暗号化機能では、端末ディスクを暗号化し、PC紛失・盗難時の情報漏洩を防ぎます。暗号化のほかにも、エンドポイント保護(EPP)、拡張型検知・対応(XDR)、監視・対応サービス(MDR)を一体で管理できるのが特長です。
Check Point Full Disk Encryption (チェックポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社)
- 世界最高水準の実績を誇るハードディスク暗号化ソフトウェア
- 暗号化を意識させないストレスフリーのセキュリティ強化
- オフライン・オンラインいずれの環境でも導入・運用が可能
McAfee Drive Encryption (マカフィー株式会社)
- 強力なアクセス制御とデータ暗号化
- 認定取得済みの暗号化技術
- 異なるデバイスに対応
SecureDoc (ウィンマジック・ジャパン株式会社)
- サーバー向けハードウエアベースの暗号化が可能
- バックエンドのインフラに最適なフルディスク暗号ソリューション
- 強固な暗号化アルゴリズムに対応
LB メディアロック3 (株式会社ライフボート)
- メディア全体を暗号化し、データを保護。
- パスワード入力のみで利用できるシンプルな操作設計。
- 利用期限設定や自己破壊機能で管理を支援。
ファイルを個別に暗号化し、メールなどでデータのやり取りをする際の安全性を高めたい方には、ファイル暗号化ソフトの活用がおすすめです。以下の記事では、ファイル暗号化の概要やおすすめ製品を紹介しているので、興味がある方はあわせて参考にしてください。
ハードディスク暗号化ソフトの比較ポイント
ハードディスク暗号化ソフトは、製品によって暗号化できる範囲や管理機能、対応OSなどが異なります。単に「データを暗号化できるか」だけで選ぶのではなく、自社の端末管理方法やセキュリティポリシーに適しているかを確認することが重要です。
ここでは、ハードディスク暗号化ソフトを比較する際に確認したいポイントを解説します。
どこまで暗号化できるか
まず確認したいのが、製品によってどこまで暗号化できるかです。ハードディスク全体を暗号化するフルディスク暗号化に対応した製品のほか、特定のドライブやファイル、フォルダ、USBメモリなどの外部デバイスを暗号化できる製品もあります。
PCの紛失・盗難対策を重視するのであれば、OSやシステム領域を含めてドライブ全体を保護できるか確認しましょう。また、USBメモリや外付けハードディスクを業務で利用している企業では、外部デバイスへの対応状況も重要です。
複数端末を一元管理できるか
企業で利用する場合は、暗号化機能だけでなく管理機能も重要な比較ポイントです。従業員が利用するPCを一台ずつ設定・確認する運用では、端末数が増えるほど管理者の負担も大きくなります。
管理画面から各端末の暗号化状況を確認したり、複数のPCへ一括でポリシーを適用したりできる製品であれば、セキュリティ対策を統一しやすくなります。特に従業員数や拠点数が多い企業では、「誰が、どの端末を、どのような状態で利用しているのか」を管理できるか確認しましょう。
対応OS・デバイスは何か
ハードディスク暗号化ソフトを選ぶ際は、自社で利用しているOSやデバイスへの対応状況も確認してください。Windowsだけを利用している企業であれば選択肢は比較的多いものの、Macやサーバ、外部記憶媒体なども管理する場合は、対応製品が限られる可能性があります。
また、今後PCを入れ替えたり、利用OSを変更したりする可能性も考慮して選定すると、長期的に運用しやすくなります。
どんな認証方法に対応しているか
暗号化されたデータへアクセスする際の認証方法も製品によって異なります。パスワード認証だけでなく、ICカードや多要素認証などに対応する製品もあります。セキュリティ強度を高めたい場合は、自社が求める認証方法に対応しているか確認しましょう。
一方で、認証方法を複雑にしすぎると従業員の利便性を損なう可能性があります。安全性と使いやすさのバランスを考えて選ぶことが大切です。
復旧・リカバリ機能を搭載しているか
暗号化ソフトを運用するうえで見落としやすいのが、パスワードや復旧キーを紛失した場合の対応です。従業員が認証情報を忘れた際にデータへアクセスできなくなると、業務に大きな影響が生じる可能性があります。
管理者によるパスワードリセットや復旧キーの一元管理などに対応している製品であれば、トラブル発生時にもスムーズに対応できます。導入時には通常時の使いやすさだけでなく、「アクセスできなくなったときにどう復旧するか」まで確認しましょう。
既存のセキュリティ環境と連携できるか
すでにウイルス対策ソフトやEDR、IT資産管理ツールなどを利用している場合は、既存のセキュリティ環境との相性も確認しましょう。製品によっては、暗号化以外のエンドポイントセキュリティ機能をまとめて提供している場合があります。
複数のセキュリティ製品を個別に管理するよりも、ひとつの管理画面で運用できるほうが、管理負担を抑えられるケースもあります。自社が暗号化機能だけを必要としているのか、端末全体のセキュリティ強化まで検討しているのかを明確にしておくことが重要です。
サポート体制は手厚いか
暗号化ソフトは、導入時の設定だけでなく、OSのアップデートやPCの入れ替え、認証トラブルなど、運用開始後にも対応が必要になる場合があります。そのため、問い合わせ方法や対応時間、導入支援の有無なども確認しましょう。
特に専任のセキュリティ担当者がいない企業では、設定やトラブル対応を相談できるサポート体制が整っている製品を選ぶと安心です。
自社に適した製品を選ぶには、価格だけでなく、暗号化範囲・管理機能・対応OS・復旧方法・サポートなどを総合的に比較する必要があります。複数製品を自分で比較したい方は、気になる製品の資料をまとめて取り寄せましょう。
一方、「自社に必要な機能が判断できない」「どの製品から比較すればよいかわからない」という方は、無料診断がおすすめです。
簡単な質問に答えるだけで、自社の条件にあったハードディスク暗号化ソフトを確認できます。製品を一つずつ調べる手間を省きたい方にもおすすめです。
ハードディスク暗号化ソフト導入時によくある失敗
ハードディスク暗号化ソフトを導入しても、自社の運用に適していなければ管理負担が増えたり、十分なセキュリティ効果を得られなかったりする可能性があります。導入後のトラブルを防ぐためにも、よくある失敗例を事前に確認しておきましょう。
暗号化対象を十分に確認していなかった
製品によって、PC内蔵のハードディスクだけを暗号化するものや、USBメモリ・外付けハードディスクなどにも対応するものがあります。「PC本体は暗号化できているものの、業務データを保存したUSBメモリは暗号化されていなかった」といった状態では、十分な情報漏えい対策とはいえません。
自社でどの端末や記憶媒体に重要なデータを保存しているのか整理したうえで、必要な範囲を暗号化できる製品を選びましょう。
端末ごとの管理負担が増えてしまった
PC台数が多い企業で、端末ごとに暗号化の設定や状態確認を行うと、情報システム部門の負担が大きくなります。
暗号化を導入する際は、各端末の状態を管理画面から確認できるか、一括設定できるかなど、管理機能も確認してください。端末数が多い企業ほど、「暗号化できること」だけでなく「運用し続けられること」が重要です。
パスワードや復旧キーの管理方法を決めていなかった
暗号化したPCのパスワードを従業員が忘れたり、復旧キーを紛失したりすると、業務データへアクセスできなくなる可能性があります。
導入前に、認証情報を紛失した際の対応方法や、復旧キーを誰がどのように管理するのかを決めておきましょう。管理者側で復旧できる仕組みを備えた製品を選ぶことも有効です。
操作性を確認せず導入した
セキュリティを重視するあまり、認証手順や操作方法が複雑になると、従業員の業務効率が低下する可能性があります。また、PCの起動時間や動作への影響なども確認しておきたいポイントです。
無料トライアルやデモが利用できる場合は、実際の利用環境で操作性を確認してから導入するとよいでしょう。
まとめ
ハードディスク暗号化ソフトを導入すれば、PCや記憶媒体を紛失・盗難した場合でも、第三者によるデータの不正閲覧リスクを低減できます。一方で、製品によって暗号化できる範囲や対応OS、端末管理機能、認証方法、復旧方法などは異なります。
また、Windows環境ではBitLockerを利用できる場合もあるため、自社が求めるセキュリティレベルや管理方法を整理したうえで製品を選ぶことが重要です。特に複数のPCを管理する企業では、暗号化機能だけでなく、一元管理のしやすさや復旧機能、サポート体制まで比較しましょう。
自社だけで各製品の違いを調査するには時間がかかります。気になる製品の資料をまとめて取り寄せ、機能や価格、運用方法を比較すれば、自社に適したハードディスク暗号化ソフトを効率よく絞り込めます。



