BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の必要性とは
BPMとは、業務プロセスを可視化し、継続的に改善するための管理手法です。非効率な業務の見直しやITツールなども活用しながら、生産性や品質の向上、業務全体の最適化を目指します。
BPMの機能については、こちらの記事で詳しく解説しています。
BPMの導入目的
BPMの導入目的は、単に業務を効率化することだけではありません。組織全体のパフォーマンスを継続的に高めるための土台として、多くの企業で活用されています。
- ●業務プロセスの可視化と標準化
- ●属人化した業務の標準化
- ●継続的な改善サイクル
- ●情報フロー最適化による部門間の円滑な連携
- ●内部統制やコンプライアンスの強化
- ●経営判断の迅速化と競争力の強化
部門ごとに分断された業務をつなげることで、情報の流れがスムーズになり、業務の滞留やミスを防ぎやすくなります。また、進捗状況をリアルタイムで把握できるようになるため、改善点の特定や迅速な意思決定や柔軟な業務改善にもつながります。
導入のメリット
BPMを導入することで、業務の流れを標準化・可視化できるため、ミスの削減や作業スピードの向上が期待できます。例えば、見積書の承認フローを最適化することで、社内処理が迅速になり、顧客対応のスピードも向上します。
属人化した業務を標準化すると、引き継ぎや人材の配置転換もスムーズになります。また、改善サイクルを継続的に改善サイクルをまわすことで、業務品質の向上や組織全体の生産性強化が図れます。
BPMが再注目される理由
BPMは2000年代初頭から業務マネジメントの成熟領域として存在していました。しかし、近年では以下のような背景で再注目されています。
認識の変化
BPMはこれまで業務効率化が最大の目的とされていました。しかし、時代の変化により、経営者や情報システム部門の間でビジネス全体の強みを引き出せるシステムとしてより大きな枠で捉えられるようになり、「経営力・競争力を高める手法」という認識が広まりました。
その背景として、スマートデバイスやソーシャルネットワークの活用による、ビジネスプロセス自体の多様化が挙げられます。新しい仕組みを迅速に立ち上げてモデル化し、確実に実行しつつも業務プロセス改善・整理をしたいというニーズに対して、BPMがフィットしていることこそが注目を集める理由です。
BPMでは、業務プロセスごとに効率化や統廃合といった改善を行えます。このような改善を人手で行おうとすれば、途方もなく時間と手間がかかるでしょう。しかしBPMを取り入れれば、作業における人的ミスも低減されプロセスの迅速化が図れるようになることがメリットです。
また、ビジネスプロセスの管理と改善が1回限りで終わるのではなく、一定のサイクル(PDCAサイクル)を回しながら常に最適を追い求めて問題点の改善を図り、業務の生産性を向上させていく点がBPMの大きな特徴です。
企業内で孤立している既存システムの連携・統合から、近年普及が進むクラウドサービス・モバイル・ソーシャルネットワークといった新たなITへの対応まで、企業におけるIT活用が大きく変化しています。そのなかで各企業が競合優位性の保持や長期的な経営戦略の立案を必要とする際に、BPMが求められているのです。
内部統制の重要視
各企業において、内部統制に力を入れることが重要視されている点もBPMが検討されるようになった理由の一つです。人間が行う業務や意思決定などを含めたビジネスプロセスを管理・自動化できることがBPMの特徴であり、まさにこれは内部統制強化につなげられる方法であるとして注目を集めています。
より精度が高く、信頼性の高い認証記録が求められるなかで、紙による業務処理では処理が集中する決済工程などで経路ミスや書類紛失が発生してしまいます。BPMによる業務プロセスの正確な管理で、業務で使うデータをより確実なものにしましょう。
BPMの実施が成果につながる企業とは
BPMが注目を集める理由を述べましたが、実際にどのような課題を抱えている企業であれば、BPM導入が解決策となるのでしょうか。一般的な課題の例としては以下のようなものがあります。
- ●特定の社員しか知らない作業手順を標準化し、共通認識を共有したい
- ●リアルタイムで業務進捗を把握し、トラブルの発生を即時に検知したい
- ●発生している無駄な作業や業務滞留を集計して、業務効率化ポイントを発見したい
- ●最適な見積書の作成承認フローを見つけ出したい
- ●クレーム処理業務の分岐条件を見直したい
共通していえるのは、
- ●業務プロセスが標準化されていない
- ●業務の進捗状況の可視化ができていない
- ●業務プロセスの変更や追加ができていない
といった点に課題を感じていることです。
さらには業務フローが事業成長に影響を与えるような企業や、十分なプログラミング知識やシステム運用知識を持たない部門にBPMの導入効果があるといえるでしょう。
まとめ
BPMが再注目される理由と、具体的にどのような課題を解決できるかをご紹介しました。しかし、これらの改善を人手のみで実行することは、実行する際に想定される工数とコストまで含めて考えると難しいため、システム化して行うとよいでしょう。
BPM手法でさらなる競合優位性や業務プロセスの標準化を検討する場合は、これらの改善を自動化して行う機能を搭載したBPMツールの導入をおすすめします。